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2009年4月 6日

活気ある業界の一つの条件は人材

とある大手の仕事屋さんで現場を見ていたら、良い動きをしている社員がいるので「なかなかいい社員がいて頼もしいですね」と言うと、その社長は「彼のうちは花屋さんで後を継がないでこのまま務めると言っています。まぁうちは助かるけれど、ご両親からしたら継いでもらいたいでしょうね」ということがあった。

先日、懇意にしている千葉の生産者が、子どもを連れて訪ねてきた。私から「大学受験をする前に農業の大切さを教えたい」と息子さんを連れてもらった。息子さん本人は農業関係の大学に行かないという。お姉さんと同様、福祉の道に行きたいと言う。農業の大切さを懇々と説いたが、どうも独立独歩でやる仕事は嫌なようで、サラリーマン生活をしたいのかもしれないと思った。花屋さんの子弟にしても農業の後継者にしてもスポーツ選手と同じで、実力で生きていくこと、あるいは起業をしていくことを嫌う風潮がある。なんとなく易きに流されがちなのではないかと思う。

花き業界を見ると一代目が圧倒的に多い仲卸に人材が豊富だ。それは起業化し、小さくても自分で責任を取って生きていっているからだ。しかしいつの間にか花き業界でも未来を託すに足る素質のある人たちも次のような理由で牙を削がれてしまっているのではないかと思う。

1つは学校や会社の組織の平等化である。現実はパレートの法則通り、2割の人が8割の稼ぎをし、言われたことしかやらない人や言われたこともやらない8割の人が2割の富を稼ぎ出している。この有能な上の2割を「出る釘は叩かれる」で押し込めてしまい、育てなかったのではないか。2つ目は組織が大きくなりすぎ、内部調整にエネルギーを使い経営者的存在が育たなかったのではないか。20人の組織でも大企業病に陥っている会社もある。3つ目は学校や会社、農協の組織は機能組織のままでゴーンさんのいうクロスファンクションチームやアメリカの会社のように利益単位ごとのチーム、特に有名なのはP&Gのブランドごとの組織のように、利益単位の組織になっていないのではないか。

大田花きのことで恐縮だが、取扱高が全体の1割しかない鉢物は、利益単位の組織になっているので黒字である。それまでは機能別の品目としての組織であったため赤字であった。それが利益ユニットとしての組織に変えて、暇なときは社内の各部署に出稼ぎに行くなどして責任者は黒字化した。日本の組織は機能別の縦割組織だから稼ぐ組織に変えていく必要がある。この工夫は京セラのアメーバ経営などいくつか方式があるが、人を育てるという観点から言えば、部署横断プロジェクトチームと人事異動に尽きると思う。花き業界を広く見渡すと2代目、3代目、4代目が多い。いつの間にか仕事の野性を感じさせる人たちが少なくなっている。戦国時代の武将や豪族のような人材が多数輩出される風土を作らなければならない。業界の高年齢化とはマンネリ化とほとんど同じ意味だからだ。

投稿者 磯村信夫 : 2009年4月 6日 00:00

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