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2009年6月22日

続・2009年初夏の販売状況

昨日の雨は大変残念だった。小雨だったらまだしも、あれだけ強いと買い物に行かないし、父の日の花を売り損なったところが多かっただろう。しかし、金・土とよく売れたので、駅周辺の店や地域一番店の本店格のお店は大変賑わった。5月の下旬から晴れの日が少なくて、関東地方はもう1ヶ月近くも梅雨が続いているようなものだ。昨日は夏至で日が一番長いと言うが、残念ながら花の主産地は例年の半分しか日射量がない。だから今後、夏は少し不足するのではないかと心配している。

日本の花の産地は6つだと思っている。輸送園芸の産地として、九州、東北、北海道。三大都市圏の半径200?300kmの産地で首都圏(含む長野、新潟)。中京圏含む北陸(新潟を除く)、関西圏である。輸送園芸の夏場の産地、東北、北海道が日射量不足で悩んでいる。かつては専門店でほとんどの花を販売していたので、花屋さんたちは粗利が5割あったから、品不足のときには粗利を削ってでも高く買ってくれていた。しかし今は花束加工業者がスーパーマーケットに納品し、地方に行くほどスーパーが花売場の中心になってきた。今まで鉢物、苗物を中心に売ってきたホームセンターも切花を扱うようになり、地方では人気の花売場となっている。ここでは粗利を27?8%とする薄利多売方式を取っている。だから例え量が少なくてもかつてのように小売価格近くまで相場が跳ね上がるということはない。

消費は政府の相次ぐ経済対策で、マインドは以前よりもだいぶ明るくなったが、7月のボーナスは出るところでマイナス15%、出ないところも多いといわれているから、値ごろ感と安全安心、ストーリー性と売れる基本は変わらない。一進一退を続けながらの夏の市況展開になるだろう。そうなると、7月のお盆、8月のお盆の菊やリンドウの相場がどうなるのかである。ここ1年ですっかり消費者のマインドは変わってしまった。象徴的なのはデパートが2桁でマイナスである点だ。消費者は良くて安くなければ買わない。花は嗜好品かも知れないが宝石とは違う。生鮮の文化品だ。だから小売店は良いものを今の消費者の価格に合わせて販売しようとする。しかし生産地は別の意識を持っている。良いものをそれなりに販売し、評価してもらわなければならない。生産資材も値上がりしたままで、石油は安くなったが、それ以外は高止まりしたままだからだ。そこで卸は中に入り、消費者の代弁者として、産地に対し「その価格提示では結局デパートのように2桁マイナスになってしまいます」と話し合いの土壌を作っておくことが必要である。売り手と買い手がどこで折り合うか、買い手ともよく協議し、質・量・価格・納期などの、スペックを詰めていきましょう。この夏の花き業界は、お盆という日本の文化的行事を控え、ボーナスが前年よりもかなり低いという消費者の懐具合の中で、消費者に喜んで買ってもらえる販売戦略、価格戦略が必要である。喜んで買ってもらえる夏の花を供給しようではないか。今年の花き業界は今から心して支度に取り掛からなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 2009年6月22日 00:00

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