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2009年12月 7日

2009年 3大ニュースのその1

いよいよ今年も余すところ、あと3週間あまり。今日は第50週目、第1日目となった。残りの4回の内3回を、花き業界の重要なニュースを1つずつお知らせしたい。
3大ニュースのまず第1は、日本列島全体で見たとき店頭需要はスーパーマーケットやホームセンターなどが主流になったということである。人口が密集している3大都市圏や政令都市の中心部などはお花屋さん優位の店売りが続いているが、車社会となった地方都市まで含めると、今年1年で完全に量販店が店売りの分野では消費者の「花のお買い場」となった。そしてその量販店自らが花束加工をする所は例外中の例外だ。花束加工業者を指定業者として選び、買取って再販する場合と、店頭で売れたら売り上げを起こし一定手数料を頂くといった委託販売方式をとるこの2つによって日本中どこでも花が売られるようになった。量販店が小売の主な場所となったということは新たな花束加工業者が増えたということである。花束加工業者は花屋さんから参入した会社、仲卸業から参入した会社、地方卸売市場から参入した会社があり、まずは仏花をつくって納品している為、一年を通じ菊、小菊の卸値がしっかりしていた。しかし仏花だけでは消費者の期待に応えられないので、来年以降は季節の花束をラインナップさせていくことだろう。

欧米では1995年まで第1回目の花屋さんの淘汰の時期があった。ベルリンの壁が崩壊し、ソ連邦がなくなって人件費の安い国から花がたくさんやってきた。アメリカではコロンビア、エクアドル、コスタリカ。ヨーロッパではケニア、南アフリカなどであった。そこからただ単に仕入れて売るというその商売は、ボリュームディスカウントをきかせて仕入れることのできるスーパーマーケット、ディスカウンターが強い。店頭売りの分野で仕入れた花を売るだけの花屋さんは淘汰されたわけだ。我々が欧米で見る専門店はいずれもデザイナーが花店を経営しているデザインショップ的なものである。その第1回目の専門店の淘汰の波が日本にはなかった。今、欧米では量販店が花持ち保証をするようになり、インターネット花店も、もう寡占化され、第2回目の淘汰の波が押し寄せている。文化も違うので日本は欧米と同じようになるとは思わないが、小売りでは花も量販店中心の時代になったのである。
日本ではこの20年ほど専門店が相手であったので国内産地は少量多品目で単価の下落を防ごうとしてきた。高品質のものを作って評価が高かった産地は、考え方を改め売れ筋への絞り込みと第2ブランドを作るなど規格を含めた大幅な見直しが必要となっている。花屋さんは小料理屋さんと一緒。プロの料理の味をお客さんに楽しんでもらう。だからこれからも専門店は消費者に必要だ。しかし、できあいのお惣菜が人気なようにできあいの花束、今後アレンジメントも必要になってくる。こういう要望が消費者から上がってきて、今年初めて量販店が小売店よりも店売りの分野でトータルの販売額上回ったのではないかと思われる。そうなると、この勢いはますます盛んになるはずだ。既存の花き業者である種苗、生産、卸売市場(卸売会社+仲卸)と花の専門店は事業を再定義し自分の強みを磨き、仕事のやり方を変える必要がある。日本の花き業界も新しい時代となっているのだ。

投稿者 磯村信夫 : 2009年12月 7日 11:41

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