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2012年1月 9日

新しいことをやる

高齢化社会で年末年始葬儀が多い。昨年の秋の13号、15号の台風と11月に入ってからの長雨で暖地の作柄が悪く、春物の入荷が少ない。冠婚葬祭をしている花屋さんは苦労が多いスタートとなった。

今日の新聞に千葉県の人口が予定より7年も早く減少したという記事が載っていた。理由として、3.11による浦安地区の液状化問題や東電の福島原発によるホットスポット問題で、移転が続き、人口が減ったという。日本は千葉、埼玉、東京、神奈川などの東京都市圏に3,600万人もの人が集中しており、日本の人口の28%の人がいる。大阪を中心とした関西圏で15%、名古屋を中心とした中京圏で10%なので、三大都市圏にいる人口が過半数になっている。特に東京都市圏は異常で、東京都市圏の次に人口が集積しているのがインドのデリー圏の2,200万人だから、日本の東京都市圏がいかに集中しているかがわかる。これでは日本が良くならないのだ。理想的にはドイツのようにもっとバランスよく、100万人以上の都市を作らせないようにする。そして地域に同じような産業を集積させ、例えば大田区や東大阪、日立市や豊田市、あるいはメガネフレームの福井の鯖江市のようにしていく必要がある。OECDの指標を見ても、幸せ度は所得にスライドするから、ここ20年、35,000ドル少し上のところから所得が伸びない日本と、40,000ドルを超えるシンガポールやアメリカと比べると、未来を語る語り口が当然に違う。日本は先進国の中で最も国際化が遅れており、しかも最も内需の比率が高い国である。その傾向は田中角栄内閣のときから如実に出ており、一世代(30年)ずっと内向きの政策ばかりをやってきた。ここに問題があろう。

イトーヨーカドーはスーパーマーケットの手法をクローガーから学び、電算システムやそれを活かしたロジスティックをウォールマートやセブンイレブンのサウスランド社、デニーズから学んでここまで発展してきた。大田花きも電算システムをアップル社やマイクロソフト社から学び、せりシステムや鮮度保持システムをオランダから学んで、生産性を誇れる花の卸売会社の一つとなったと思っている。決して内向きにならず、国内にいても新しいニーズを嗅ぎ付け、問題を解決し、労働生産性において国際標準を上回ろうとしてきた。現在、花き業界にある閉塞感は、小売の分野において利益を出しにくい制度となっていることにある。冠婚葬祭とも、紹介料他が3割以上となっている点、集客力のあるところのテナントに入ったとき売上高家賃が2割近くになっている点など、ここ20年、特にここ10年で花き業界から他業界へ流れるお金が多くなった。この商売の制度上の問題から小売は利益が少なく、それが結局生産者の利益の少なさへとなっている。これを解決するには、制度や販売の仕方などで、イノベーションをしなければならない。事実として短期の利益は社員教育や設備投資によって得られるが、長期の利益はイノベーションによってしか得られない。その業界の発展はやる気のある人が新たに生産や流通や小売に参入したのか、イノベーションを伴うどんな新しいビジネス展開があったのか、我々はもう一度生産の分野から販売の分野まで、新しいルール作り、新しいことをやらなければならない。海外の動向をつぶさにチェックしたり、取り入れるべきは取り入れたりして、新しいものをここで生み出してゆくのも、グローカルな業者として必要であろう。
1999年、アメリカでインターネット花屋を立ち上げ、1ドル=80円になおして10数年で現在500億円以上を売っているProflowers社長の親友エイビ・ウィンパレは、日本の花き業界があまりにもおとなしいのに近頃あきれている。3.11後、日本に住むことにしたドナルド・キーン氏も、日本に"立ち上がれ、勇気を出せ"と言っている。
「やってやろうじゃないか」辰年だ。竜が天に飛び立つように、まずはなんでもいいから新しいことを仕掛けていく。そういう一年にしていきたい。

投稿者 磯村信夫 : 2012年1月 9日 00:00

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