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2014年8月 4日

あぶくまカットフラワー、生産開始

 台風12号の大雨で九州・四国ではお盆の花が前進開花しているので早めに買ってもらいたいとする生産者や市場に打撃を与えている。

 ここ2年ほど円安や中東のイスラム原理主義者との問題・ウクライナ問題等から、アメリカでシェールガスが本格的に採掘が始まったというのに、油代が高止まりし、生産者は経費増にあえいでいる。油の要らない時期に出荷して油代を稼ごうと、葬儀や盆に必要とされている白菊を中心に特に九州で生産が増えた。一輪菊の周年産地は、いずれも油の要らない時期に生産を増やしたが、結果として日本中で供給過剰となり安値が続いていた。いよいよ需要期も間近の8月となり、持ちの良い菊や小菊は常温でも一か月近く持つので、早めに仕入れをして定温庫の中でストックしておこうという時期が、今週の8月8日前までである。そこで台風の11号の動きが気になるところだが、天候のことなので仕方がない。早く走り去ってくれて、花店の仕入れの時は悪天候でもお盆の時には店頭が賑わうよう、すっきり晴れて欲しいものだ。

 福島市から一時間弱の所にある川俣町の山木屋地区。先日3日、道の駅川俣でトルコギキョウの産地として有名なあぶくまカットフラワーの出発式が行われた。日中は30度以上あっても、夜は20度以下に下がる。桜の開花も札幌地区と同じ時期だそうだ。また、福島原発被害により避難地域に指定されている。除染も終わり、あぶくまカットフラワーメンバー全員で、今年から以前と変わらぬ自主共撰共販での出荷が始まった。通勤農業をしながら山木屋地区で花を作る。一人もかける事なくもう一度農業をやろうと決意した方たちは、福島の農業者だけでなく、広く花き生産者たちに勇気を与えてくれている。復興庁としても、先陣を切って農業を始めたあぶくまカットフラワーの方たちの後に続いて欲しいと願っているだろう。

 この川俣町でも、小菊を新ふくしま農協花卉部会のススメに従って生産する方たちがいる。2011年、食べるものは風評被害で買い手がつかない物が多く、このままでは農業が出来ない所までいった。しかし、小菊は東北と都内の市場が中心に受け入れ態勢を敷き、それなりにお金にする事が出来た。こうして新ふくしま農協は、岩手や秋田県同様、夏の小菊の日本を代表する産地となっていった。余談だが、今年は前進開花して川俣町の生産者もお盆用のものが出てしまった人もいる。

 花の復興事業はまだまだ続く。あぶくまカットフラワーの方々はその場所に住めない為、パートさん達を雇えないからだ。小さなお子さんのいるご家庭の不安がある。その地域が子供たちへ、また孫たちへと、持続的に発展し続けて行かないと農業の発展は有り得ない。今後、あぶくまカットフラワーの皆様方と、どのようにすれば最も生産歩留まりのよいトルコギキョウを生産出荷出来るのか考えていきたいと思う。まだ数年は家族労働でやって行かざるを得ないだろう。その時、労力配分等からどのようにしていけばいいのか。限られた労働力の中で、ニーズやウォンツにフィットさせる花き生産をしないといけない。お金を取らないといけない。これを一緒に解決するのが、私たち市場の役目である。

投稿者 磯村信夫 : 2014年8月 4日 16:35

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