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2014年11月 3日

地域独特の園芸農業に貢献する

 皆様方の地域では、ハロウィーンのイベントは如何だっただろうか。昨日、日本橋高島屋で開催されている生け花草月流の展覧会へ足を運んだが、その会場でとある先生とハロウィーンのイベントの話題になった。その方はマンションにお住まいだが、近くの幼稚園から子供たちが来たという。また、近くの渋谷の交差点でも、コスプレ姿の若者たちが朝まで騒いで楽しそうだったので見に行った、ともおっしゃっていた。やはり、若い人たちの力は凄いものだと思う。そして、ハロウィーンのイベントで盛り上がった後、街は急にクリスマスの装いになっていく。しかし実際は、紅葉の秋本番であるから、アメリカと同様、日本でも、勤労感謝の日までは十二分に秋を楽しむ様相が必要だ。年末商品の生産が多い鉢物類は、クリスマスを早めに演出することもあるかもしれないが、切花類・食べ物も秋本番の演出をして楽しみたい。

 28日の火曜日、国賓として、オランダ王国国王ウィレム・アレキサンダー陛下及び同王妃陛下がいらっしゃった。歓迎会場では、大田市場でオランダから輸入された花と、日本の花を調達し装飾がなされた。総理ご夫妻主催の迎賓館での歓迎晩餐会では、オランダの象徴であるチューリップやアマリリス、ライラック等を中心とした花が、大きなオブジェとして飾られていたが、テーブルの上では、オレンジ、赤を中心にチューリップ、ダリアやアルストロメリア等のテーブル花が活けられていた。返礼として、ホテルオークラで開催された国王陛下主催のコンサート・レセプションでは、ドーダンツツジとアマリリス、アルストロメリア、そして、オランダから持ってこられた赤芍薬等、大きな正面のオブジェだけでなく、コンサート会場外の通路までスタンド花の形で花が活けられていた。また、会場では参加した多くの日本人が花の前で写真を撮っていた。オランダに関係する仕事をしている方々だから、ことさら「オランダ=花」のイメージを持っている所為かもしれない。その期待を裏切らないだけの花のおもてなしがあって、私も流石、と感じた。

 オランダは独立以来、歴史的に各州で独特の花の特産がある。確かに、オランダには大学、研究所、農業関連会社等、農業を進化させるための先端的なモデル地域があるが、それ以外にも、北からベルギー近く、また、ドイツに近い2012年に花博が開催されたフェンローまで、地方には独特の園芸生産がある。オランダの面積は九州とほぼ同じだが、それでも地方分権は行き届いており、産業もそれぞれの地域でバランスよく配分されている。文化・文明を宗教の観点からみると、確かに日本とヨーロッパは異なっているが、土地と民衆の統治の仕方によって形成された文化・文明の観点からみれば、中国やロシアのような公地公民の中央集権制ではなく、トップが間接的に土地と人民を統治する間接統治の封建制を近代までとってきたので、地方分権が最も好ましいようにヨーロッパと日本では考えられている部分は同じである。そこで、日本では東京一極集中から地方再生となる。オランダは、国土は決して広くはないが、その意味で、花き園芸ひとつとってみても大変優れた農業がオランダ各地にある。花市場は、企業体としてはフローラホランドとなり一つになっているが、支所の形で、花市場としては四カ所が元気に活動している。EUが大きくなり、量販店で花の扱う率が高まった為、分割して統治されないように会社としては一つになったのだ。しかし、地域色、あるいは、それぞれの役割を明確にした花市場は、残すべきところは残すと健在である。日本もそうしなければならない。

 封建制度というと、古臭く、全て価値がないように思われるかもしれないが、封建制度が布かれた平安期、また、封建制度によって如実に栄華がもたらされた江戸期を見てみれば、現在の政治体制通り、間接統治の在り方は素晴らしいことではないだろうか。グローバリゼーションに耐えうる日本の園芸農業を、今まで以上にどう発展させていくか。その中で、私ども卸売市場がどんな仕事を通じて園芸農業と地域の消費者に貢献できるか。これを真剣に考えなければならない。オランダ農業が成功しているのは、農家の子弟が企業家農業を行っているからである。植物工場を除いては、企業が園芸農業を行って成功したとする事例を私は知らない。一方で、農家が事業家になり、事業家農業を行って成功している所は、オランダをはじめ、日本でも多く知っている。農業は、難しいが先端的なやりがいのあるカッコいい商売であること。花屋さんや我々市場は、生き物相手で大変だがやりがいがあり、素敵な商売であること。このように、自分の仕事を自慢することからやっていきたいと、オランダ国王主催のパーティーで友人に語った。

投稿者 磯村信夫 : 2014年11月 3日 16:22

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