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2016年5月 9日

母の日も"質"の日本

 昨日はGW中の母の日であった。本年の母の日は、生活者の気持ちがレジャーの方に向いてしまい、花き業界全体からすると、過去の経験から予想した通り、需要量は少し少なくなっていた。生活者がどこのお花屋さんを通じてお母さんに花をプレゼントしたのか。「疾風に勁草を知る」ではないが、母の日のギフトに強い花屋さんを知るには、今年はもってこいの日めぐりだったと言える。

 小生が尊敬するお花屋さんの一人が、次のようなことを言っていた。「年末と母の日は、お店の通信簿のようなものです。そのお宅に尽くしたら、お嬢さんやお孫さんは買いに来てくださる。もし来てくださらないとしたら問題ですね」。先週の始め、セリ場上の通路でのことだ。本年の流れは、お母さんにプレゼントするのだから、数量や金額はもとより、より本物を求め、信頼の置けるところで用意をするというものであった。カタログやインターネット販売でも、信頼のある花店が自分の贈る花を担当するのかといったところに重点が置かれた。また、初めて見る生産者の「私がつくりました」という写真がついたカーネーションやアジサイの花があっても、「この人のことを知らないから止めておこう。それより、信頼の置けるフローリストが担当するものを贈ろう」。という人が多かったのではないか。すなわち、専門店かどうか、そして、日頃から値段ではなく、品質がしっかりしていて、贈った時、貰った時も、「良かった」と得心の出来るものであることが大切であった。そうなると、限られた店が繁盛し、母の日だからと出てきた、いわゆる「物日販売業者」は、今年は総崩れだった。例えば、ペットボトルのお茶なども、信頼のある会社が監修・チェックをしたか、あるいは、その茶葉を納品した等でないと選ばれなくなってきている。まさにそれと同じ流れとなった。

 花き市場においては、国産のカーネーションが圧倒的優位であった。そして、国産しかないカーネーションの鉢物では、「この人なら大丈夫だ」と思わせる、つくりの良いブランド生産者の鉢は予定価格で通ったが、それ以外は安値に泣いた人もいる。仏花の物日の時は、量販店の花売り場が優位になっているが、母の日は、素材ももちろん、質の確かな、綺麗にデザインされた切花、また、全体のバランスだけでなく、いかにも「根っこも健全です」ということを全体で表している鉢物を扱う専門店が、今年の生活者の負託に応えていた。

 今後とも、お客様として大切にしたいお父さんと子どもたちが、店頭で並んでいる姿を見ると、我が花き業界は、総出で母の日を応援しなければならないと思った次第である。

投稿者 磯村信夫 : 2016年5月 9日 13:54

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