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2005年4月 4日

国内生産量は暫く横這いだが・・・

 青果物の市況にみずみずしさが戻ってきた。思えば95年くらいから輸入の果物・野菜に泣かされて、バブル崩壊と単価安で良い物が売れなくなり、市況にメリハリがつかない状態が長らく続いていた。それが量販店も既存店の前年の売上げを維持するのは苦しいが、食品スーパーで生き残りをかけるとの方針から青果物全体の相場にメリハリがつき、良い物とそうでないもの、量が少なくなると相場が跳ねるという状況になってきた。一方、花は今までの青果の市況と同様、なんとなく重たい感がある。切花は青果物同様、市場外流通から市場流通に戻ってきている。鉢物・苗物は下げ止まったといえども、未だ出荷者は市場外流通を志向している。花き類は総じて生き生きとした相場展開がなされているとは言い難い。唯一切花の中では最も先に単価が下落したキク類は青果物と同じタイミングでメリハリの効いた相場展開となってきている。2002年の底からここのところにきて反転してきている。今年の花き生産は総じて前年を下回る。大きな要因は花を作る意欲の減退だ。お金が取れなかったのである。ここ暫くは青果物に転作する人が出てくるだろう。本年を入れて2007年までのこのような傾向ではなかろうか。

 このように書くと、花の生産者は皆元気がなさそうに思う方がいらっしゃるかもしれないが、利益を伸ばしている人もいるし、花以外は作る気がないと自認している人たちも多い。その人たちのご子息を今年も研修生として3人お預かりした。つくづく思うことは3年前まではサラリーマンのお子さん、即ち新入社員の方が社会人としての覚悟ができていた。多分家を継ぐことで甘やかされていたとは言わないまでも、やはり農家のご子弟はどこか甘いところがあった。それが昨年くらいからまず精神が鍛えられていて、素晴らしい。そのような農家のご子弟が大変多い。彼らを見ていると日本の農業の未来は明るいと思える。こつこつと努力を積み重ねる。そして、上司の視点で仕事を見て、自分のやるべきことを決めている。日本の農業がどうあるべきかを考えている。自分の地域はその中で何をすべきかを考えている。とりわけ3年前と違っている点は、コストとロジスティックを絶えず考えて良い品物を作るだけではだめだ。良くて、安くて、タイミングも良い。これが花き業界の目指すところだと問題意識を持って仕事をしている点だ。社内で行っているアクティビティ・ベイスド・コスティング(ABC)は社員にとっても研修生にとっても目からうろこの一瞬だ。これを身に付けることによって合理的な行動をしようと心がける。このようにして、研修生の諸君は3年後に大田花きを卒業し、その地域の未来を担う一員になっていく。サプライチェーンの中で、個々の役割を考える。こうした考え方を持つ人たちが徐々にだが増えている。良くて、安くて、早い。これを目指すのは花き業界とてなんら他の産業と変わらない。この卵たちが育ってきている。

投稿者 磯村信夫 : 2005年4月 4日 18:36

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