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2006年8月21日

ロシアの花:雑感

 夏休みをいただいてロシアのペテルスブルグとモスクワで一週間過ごした。35年程前、シベリア鉄道でナホトカからハバロフスク、モスクワからレニングラードへはじめてのソ連の旅をした。絶えず国営旅行会社のインツーリストがぴったりくっついて同行し不自由であった。そして社会主義国家を統治するとはこういうことかと感じた。その後度々、ヨーロッパに行ったときは行きか帰りにソ連を訪れた。ゴルバチョフのとき、エリツィンのとき、そして特に95年以降マフィアが横行し、街に麻薬があふれ、20世紀末デフォルトでほとんど混乱の極みともいえる様相を呈していた。しかし、それでもペテルスブルグとモスクワを5年毎に行っていたのは、オランダでは命をかけてでもロシアに花を売りに行って輸出会社はそれなりの成功を収めていたからで、花好きで人情味のあるロシア人に対する愛情からだ。昨年の夏、突然ロシアはオランダの花に害虫がいるということで輸入禁止措置をとった。ロシア人が大好きな大輪菊と大輪バラの価格がオランダ市場では下がった。鉢物では観葉植物などの相場が下がった。
さてこの夏、今までは旅行者として花店を見るに過ぎなかったが、今回は問屋の大手をペテルブルグ3軒、モスクワ3軒を見て廻った。店頭売りの75%がギフトで、25%がホームユースと言われるが、他にも結婚式や葬儀の花にも花き専門の業者は取り扱っている。ロシア人の好みは大きな目立つ花だ。大輪の菊とバラはよく使われ、大輪のカーネーションがお墓の花として使われる。日本の菊とカーネーションは逆の立場だ。両方とも早く偏見がなくなるよう祈っている。
9月1日は新学期で、特に小学校・中学校ともに1年生は先生によろしくおねがいしますと花をプレゼントする。
 ロシアの卸はどこも、「いよいよ需要期になってきて値段を吊り上げてきたと花の小売店に思われるのはつらい」とオランダのここのところの高値相場を嘆いていた。5年前まで約100億円あったとされるロシアの国内花生産額は4分の1の約25億円になっている。花壇苗や植木はポーランド産が多い。もちろん一部シベリア産のクリスマスツリーは絶品だ。ほとんどの切花・鉢物はオランダ産、デンマーク産、バラはエクアドル、カーネーションはコロンビア、そして2,3年前から売り込みが激しい中国雲南省のカーネーションと韓国のユリ類がある。ポーランド産の切花が少なくなって残念のような気がするが、しかしロシア人はオランダの市場を当てにしている。ロシアの流通業者は幾度も「オランダの花市場はヨーロッパ社会のインフラストラクチャーだ」と言う。このようにロシアでもオランダの花き業界を頼りになる相手として選んでいる。
 ロシア人は自らを細かいことを気にしない大雑把な国民だと言うが、こと花に関してはオランダからの良い影響で基礎がしっかりしていると問屋を廻ってみて感じた。

投稿者 磯村信夫 : 2006年8月21日 00:00

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