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2007年9月 3日

銀座、丸の内の秋

猛暑だった8月の実績はいかがだったでしょうか。単価水準は中旬まで過去3年間の真中、それ以降は特に20日過ぎ、最も高い水準となった。朝刊各誌ではこの8月の売れたもの、売れなかったものを各種報じているが、おもしろいことに殺虫スプレーはあまり売れなかったという。暑いのであまり人が外に出ていないのもあるが、高速道路などは相変わらずの混み具合だから夏休みはいつも通り。それを考えると夜中も25℃以上で植物や虫などにちょっと異変が起きていたと考えられる。

さて土曜日から9月が始まったが猛暑が続いていたので、どのように秋物を売り出していくか、そのアイディアを見に、土日にかけて銀座、丸の内、日本橋を見た。東京では六本木ミッドタウンが話題を集めていたが、落ち着いた大人の街としてここ銀座や丸の内界隈の人気が高くなってきている。花で言うと、最も素晴らしい装飾だったのが9月1日オープンのペニンシュラホテル。そして日本橋の高島屋であった。各所、この月曜日に花の入れ替えを予定しているので、このレポートでは限定的な土日の様相をお聞きいただきたい。落ち着いた雰囲気を出す小道具として、花を使っているのがフランスやイタリアのブランドショップだ。あまり大きくは飾らないが、大変気の利いた季節の花をさりげなく飾っている。特別なデザイナーがいたり、有名な花店と契約を結んでいたりするのだろうか、日本だけの花使いもあれば世界統一の花使いもある。ぜひとも東京に来たら、銀座や丸の内界隈のブランドショップでウィンドウショッピングをお楽しみいただけたらと思う。

花使いの街の様相も高齢化と共に「大人の」というのが一つのキーワードになってきている。新丸ビルのお花屋さんや東京駅のサピアタワーのお花屋さんなど、艶やかな中にも落ち着いた雰囲気をかもし出すところが東京では増えている。秋の花で言えばコスモスよりケイトウだ。またフランス風やイタリア風なども良いが、生け花の良さもこれらの街では注目されてきている。

赤坂の草月会館で加藤華先生の社中の展示会があった。大変珍しいオランダ柳をたくさん使っていて、その荒々しい北海の風を感じさせる柳を使った作品に打たれた。同様にミズキを使った造型にも魅せられた。蓮の葉もあったが、これら水に親しんだ材料を使いながら強さを打ち出している作風に見入った。

銀座や丸の内が商業地として根ざしているものは、やはり商売として買ってもらわなければいけないのでもう少しワクワク・ウキウキしたものだが、花の作風は元来、床の間や客間などに飾るもの。その生け花の美しさは日常生活の中で襟を正す一瞬でも良いから持っておきたい、欠かせない時間や場所である気がする。いずれにしてもバブル崩壊後、デフレで「本物」が少なくなっていったが、それではいけないともう一度質の高いものに注目が集まり出した。これらの場所では子どもをほとんど見かけない。このような場所が人気になっている。

投稿者 磯村信夫 : 2007年9月 3日 00:00

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