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2007年9月10日

重陽の日

先週の土曜日は台風で延着した切花が多くあった。露地が多い時期なので土曜日の市にも切花は結構あるのだが、それにしても木曜から金曜の朝まで東名が御殿場?大井松田の付近で不通だったので西から来る荷物、また長野県でも中央高速が不通だったので新潟を回らずに東名に入ってくるため、大型車が何台も延着した。セリ前、担当者が本日の入荷量や状況報告などをせりに臨む買参人にしているが、金曜日のせり場にいた買参人の多くは、日ごろ買い付けている荷が延着だとわかると、土曜日にその荷を買いにわざわざ来てくれていた。それぞれの産地が、日頃から自分のものを買い、消費者に届けてくれている花屋さんを大切にしてくれているおかげだと思うと本当にありがたく思った。

昨日は重陽の日で目黒雅叙園では、マナコフラワーアカデミー本部と池坊東京武相会の花展があった。大田花きでは、今だからこそ菊をもう一度あらゆるところで使われる日本のメインの花にしようと本格的に努力を始めたところだ。切花の菊というと、いつの間にか白菊は葬儀の花、黄菊は仏花となってしまった感がある。しかし雅叙園のこの展示会を見て、そんなに狭い範囲に役どころを限定してしまうのはいかにも菊に申し訳ないと思った。

展示会では生の花と造花も使われていた。なぜ造花の菊を使うのかというと、大輪で咲いた菊というのがほとんど出回っていないからだ。だから先生方はやむなく咲いているピンポン菊やシャムロック、アナスタシアなどとその造花を一緒に使わざるを得なかったのだろう。

昨年ペテルスブルグのエルミタージュに行った折、回りの花屋さんをよく見た。ペテルスブルグはヨーロッパ的だが、それでも花の好みが大輪バラと大輪菊。これはモスクワを中心とするロシア人に今最も価値ある花だ。旧東ヨーロッパが、大輪菊が大輪バラと同様の価値を持つ花だと評価していること、この波紋がヨーロッパじゅうに広がっていること。したがって良い大輪新品種が、かなり多くで始めており、日本を除くアジア圏でも作られ始めていること。これらを日本の人口動態と菊文化の伝承を考えると、団塊の世代がリタイアをし始めた今、都会の超高層マンションやホテルのエントランスロビーなどに大輪の菊からスプレー菊、そして小さなマイクロマムまでを使ったアレンジが生かせる空間がどんどんできてきている。菊だからコストパフォーマンスも良い。大田花きはこのような需要を作るお手伝いができたらと考えている。

昨日は暑かったが、重陽の日に菊を使った作品を見て、菊についてやるべきことを再確認した。

投稿者 磯村信夫 : 2007年9月10日 00:00

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