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2008年5月19日

再生産価格

17日の土曜日、長野県伊那谷で伊那大田会があり、勉強会の後、懇親を深めた。今、大田会のメインテーマは温暖化で、出荷時期をどうするか、作る花をどうするかということが一つ。飯田市の会員は温暖化で地元の天候を長野県名古屋市などと冗談っぽく伝えている。そしてもう一つは材料費高でどのように再生産につなげるかであった。

原料費高の中で再生産価格をどうやって勝ち取るかはなかなか難しい問題だと言わざるを得ない。農業をしたり、花を作ったりするための原材料が高くなっているのは、外需が高まっているからで、決して内需が活発化したわけではない。内需はむしろ少子高齢化、人口減少で、さらに厳しくなっていく。土地の値上がりを見ても、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の6大都市の土地の価格は上がっているが、他の地域はそうではない。上がっているところは、見返りが期待できると思っているところだろう。ではどのような見返りなのか。所得が一定水準以上の人がたくさんいる地域、人口があまり減少しないと考えられる地域。この二つであろう。それらの地域はプレミアム・ニッチか、自家用車でいえば500万円以上の車が良く売れる地域であり、差別化された新しい商品が良く売れる場所であり、コストリーダーシップ、コストパフォーマンスよく創られた商品が割安と感じさせることが出来たら、どこよりもたくさん売れる場所である。こういった6大都市の商業地は日本全国でも特異な存在で、政令都市まで含めると地価を見ている限り、二つの日本があると言えないこともないくらいである。

再生産価格を生産者が受け取るには、結論として自分の花を買ってくれる小売店が繁盛するよう支援をしなければならない。その地域でどこの花店よりも繁盛してもらうことが結局、自分の手取りの金額を高くするのだ。すなわち自分の品物のサプライチェーンを知り、出荷先の卸売会社と一緒になって、その自分のお得意先のために尽くすのだ。このサプライチェーンはインターネット上でパスワードを使って見ることが出来る。また、さらに分析的な情報、だれが本当の自分の重要顧客なのか、一番高く買ってくれる人、量をたくさん買ってくれる人は誰か、とさまざまな切り口から自分の顧客がどんな業態の花店で、年収いくらくらいの消費者をターゲットとしているのかを知ることが出来る。長い間かけて、自分が開拓してきたその小売店の業態に合わせて品目を選び、その小売店の競争力強化につながる品種や時期や相対単価を設定する。こうしてはじめて、好んで買ってもらい、再生産価格を自助努力で生み出すことが出来るのだ。生産者にとって難しい時代になったので、大田花きの場合まず「ここほれわんわん」に入会して、自分の役どころを見てください。その今の現実から考えましょうと上記のことを提案している。

ロスを出さない、失敗しない。そのための6Sを徹底するなど、基本に忠実に生きて、そして仕事だからお取引先に喜んでもらう。至って基本的なことを繰り返し行なうのが再生産価格を生み出す仕事である。

投稿者 磯村信夫 : 2008年5月19日 00:00

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