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2008年10月 6日

来週の見通しを

市況商品である花や生鮮食料品は、俊敏にそのときの需給バランスを映し出す。現在の経済状況からすると、取引所を持たない他産業の需要減は今後本格化する。それが実態経済の影響と言われるものだ。株価は先行指標の一つだが、花や生鮮食料品の相場はそのときの台所事情を即座に映し出す。これを生産地が引き合うような価格で取引するにはまず供給元を絞ることが必要だ。販売元の数の調整が欠かせないということだ。ヨーロッパもアメリカもそうしてきたし、そうなった。青果はオランダでさえも、せりをやめてもう10年になる。花はせりを行なっているところも多いが、ヨーロッパではオランダとドイツとイタリア。アメリカ大陸ではカナダ、ブラジル。オセアニアではニュージーランド、中国、台湾、韓国、日本だけで、それ以外の国は相対である。日本では一部の市場を除いて、相対取引の一手段としてのせりといった風に、せりの使われ方も変わってきた。供給者の数を絞ることが必要なのは、オランダの花市場が一社になったことで分かるとおりだ。そして次に産地情報を道州制レベルで次に全国レベルできちんと捉え、取引所の会員に開示することが必要である。そうでないと、相場の乱高下が激しくなる。現在は経済が悪いから、情報がないと不安で安値に流されることが多いのだ。とにかく地域の基幹的卸売会社は情報を収集して、それを分析し、買い手と産地に発信する義務がある。少なくとも「来週の見通し」をきちんと伝えていく必要がある。

話題をもう一つ。石油高や資材高で暖房が必要な時期に花の生産が少なくなっている。しかし少ないから高いという風にはいかない。どのように再生産価格にまで引き上げるかだが、小売価格を上げられない中で生産者が手取りを増やすには工夫が必要だ。実感はなかったが、昨年までの好景気で産地はここ10年、一箱あたりの入り本数を少なくして花屋さんの買いやすい入数にしてきた。ダンボール代や運賃、手間隙がかかっただろう。しかしそれを補って、余りある高単価が得られると判断したのだろう。輸送容器、兼販売容器を産地は実現してくれたわけだ。しかし生産資材が高くなる中で何が落とせるのかというと、結局一箱あたりの入り本数を元に戻さざるを得ないのではないか。昔のように100本、200本、300本箱。必要だったら卸がせり中に小分けをすればよい。昔と違って仲卸も少なからずいる。こうすれば生産者はダンボール代、運賃が助かる。全体量が少なくなっているから単価がこれ以上下がるリスクはあまり多くないはずだ。入り本数を元に戻す、この時代に入ったのだ。

投稿者 磯村信夫 : 2008年10月 6日 00:00

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