大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 株価が下がっても、いたずらな心配をしないでください | トップ | アジア回帰 »

2008年10月20日

ホームユースを根付かせることの大切さ

オランダ花市場の情報部門Eコマースの部長であるユルンさんから、「入荷が5%増え、経済の低迷で単価は5%下がったので、今年は今のところ昨年並みの取扱金額になっている」との話を聞いて、何故そのくらいの単価安で済んでいるのか、需要の落ち込みはないのかと質問した。答えは家庭需要。花は暮らしに欠かせないものになっているから、需要はそんなに落ちないと言う。オランダの花き産業は家庭需要の上に花き業界を構築してきたから、これだけ強烈な経済の調整局面でも花の需要はしっかりしているのだ。

一般論として、ホームユースやパーソナルユースと、物との関係はどのようなものか。コンピューターがパソコンになっていくと値段が下がり、しかも良くないと売れない。花なら花保ちが良い、そしてユリならユリ、バラならバラの良さが際立っている。値段は普通の人が買える範囲、こうしたときに初めて家庭で使われることになるのではないか。

プレゼント、結婚式やお葬式、ディスプレイなどは個人の経費なのか会社の経費なのかわからないが、とにかく経費需要といえるものである。日本は高くても買ってくれるこの経費需要を充てこんで、作り、販売してきた。しかし今は経費削減だから、この花の需要は減るのだ。個人需要であれば生活に欠かせないものにだから、景気が下がったときでも少し安くなれば消費者は納得して買ってくれるわけだ。

今回見たアムステルダムのHORTI FAIR、オランダ花市場でのフェアなどはいずれも時代と共に移りゆく美意識を具現化したフェアだ。見るべきものも多くあったが、まずは物としての良さと値段を中心にしたホームユースに軸足を置かない限り、産業として成り立ち得ないのではないかと感じた。ホームユースを喚起する一つとしてのHORTI FAIRであった。

投稿者 磯村信夫 : 2008年10月20日 00:00

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.