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2010年5月 3日

わけ合えば余る

日本人が日頃良い行いをしてきたおかげで、ゴールデンウィークは今までとは打って変わって五月晴れの天気が続いている。花き業界は9日の母の日に向け、需要期の真っ最中。作柄は遅れているがお天道様が出て、出荷物は硬めながら小売店にたくさん売ってもらおうと生産者は休日返上でがんばっている。切花のカーネーションは国内産とコロンビア産が母の日向けのギフト、中国産は母の日にご仏壇やお墓にカーネーションを供える人もいて、仏花用に使われる。カーネーションは持ちがいいので、安心して小売店は販売しようとしている。しかし、カーネーションの性質からして、一時に一つの茎から2本、3本が一緒に咲くということはない。菊の切花はこれが出来るから需要量が何倍になっても供給が追いつくが、カーネーションの場合はお兄さん→お姉さん→僕→妹という順番で、時を置いて順番に開花する。もちろん需要期に合わせて作るのだが、1株から切れる本数は限りがあるので、国内カーネーションとコロンビアのカーネーション、また中国のカーネーションは補完関係にある。鉢物では母の日にはカーネーションの鉢とアジサイ、クレマチス、バラの鉢などが補完関係にある。これを競争関係と言わなかったのは、先日面談いただき、ご指導いただいた日本経営システムの方からの教えである。相田みつを氏の言葉に「うばい合えば足らぬ、わけ合えば余る」という言葉がある。母の日の需要に対し、お母さんを想う気持ちを、また大好きなお母さんの喜ぶ顔が見たいと花を贈るとき、その花が本当にもらったお母さんの気持ちや贈る人の気持ちを伝えているだろうか。いや、伝えているに違いない。

環境に適合したものが今年も人気を博す。その時「今年は○○がよく売れた」と言うが、結局は切磋琢磨し、素晴らしいライバル同志という補完関係が背景にあるのである。“One takes all”は実際の世の中ではあり得ないし、あってはならない。


第九次卸売市場基本方針が10月に出される予定だが、それに向け「卸売市場流通ビジョンを考える会」では多様な卸売市場のあり様を提案している。新幹線や飛行場でもハブ機能を元に拠点と地元で役割を分けている。何も拠点が偉く、地元が低い地位にあるのではない。役割が違うのだ。生産者と消費者を主役にこの2人が存分に活躍できる卸売市場のあり様をマーガレットホールの法則に基づき、産地、拠点、地元の3つの機能を追及した姿を提案した。青森市のスモールシティなど美しい日本を語る地方の素晴らしい取り組みがある。日本の素晴らしさは長所を生かし、困っている人を助け合って、生きがいのある生活を送ることだ。母の日の需要期に市場の取引状況を見ていると、私たち花き業界も確実にその方向に向かっていることをありがたく思う。

最後に切花のカーネーションを作っている生産者の皆さんへ。エチレンカットの前処理を十分にしてください。カーネーションはお母さんと同様、いつも元気で長生きする花だということを、消費者にもう一度認識してもらいましょう。そのためには新鮮なエチレンカット液と前処理時間に気をつけてください。品質クレームの半分はこの問題ですから。

投稿者 磯村信夫 : 2010年5月 3日 00:00

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