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2010年8月 9日

想定外の作柄不順の2010年8月盆市況

日本がこれだけコロコロと首相が変わるのは考え物だと思っている。現に世論調査を見ても、信念の強い首相の待望論がある。その一方で、あらゆることをお茶の間の話題として捉え、何事も身の丈サイズに直して分かりやすくしようとしている。この二つを同時に満たすには、リーダーは明確な将来像と短い言葉で端的に自分の思いを伝えることが必要だ。そうでないとまた烏合の衆に迎合するメッセージとなる。

場の空気とはそういうものだ。取引所は恐怖や快・不快、都合・不都合の神経回路を通って、色付けされた事柄が本人の事実情報として取引の参加者に届く。参加者は「さぁいくら?」のせり人の声でヤリを突き、せりに参加する。せり前取引のインターネット相対も同様だ。だから大切なのは恐怖や快・不快を感じさせる品物の量の問題で、自分が質・量・単価とも自分の都合で買えるかどうかが大切になる。多くの買参人の中にはこういう考え方の人がいて、その数は決して少なくない。その人たちはいずれも地元の消費者から絶大な信用を得ている人たちだ。「花ならあそこの花屋さんじゃないとだめよ」と一昨日も二夫婦から言われた。そのような人たちは「今年の天気じゃ生産者は本当に大変でしょう。梅雨明け後の猛暑で露地物の小菊やリンドウ、ケイトウは上手な生産者でも量は出てこないのではないかと思います。そう思いながら買わせてもらいます」と言う。このようにいつも生産者のことを考えながら花店を営んでいる人たちだ。毎日品質や量が変わり、需給バランスによって価値も価格も変わって、しかも生き物の生鮮食料品花きはプロが商いするものだ。見積もりが取れないと納品先が商いしてくれないから、それは見積もりを取れるようにするし、花束加工をするとしても人の手配や段取りがスムーズに行くように予約相対もする。しかしそれもぴったりと言うことはない。今年のような天候のときには幅を持って考えてもらいたい。この幅を持って考えてもらえるように、的確な情報伝達が産地や卸は必要である。産地は天候で仕方がないのは分かるが、仕方がないと判断するのは買い手側である。買い手は生産者のことを思ってほしい。苦労して作った花を商いさせてもらっているのだ。こう考えれば、産地状況は我が事として捉え、中長期的にも信頼し合える同志となる。
今年の8月の盆は12日が切花休市なので、11日まで予約相対が続き、迎え火の13日まで入荷がある程度潤沢となる。16日は中京関西の市場が休市なので、荷がまわってくることもあろうから、関東以北はがんばって販売をしようと思う。

団塊の世代が60歳代になって、仏花の需要が高まっているが、特に需要を強く感じるのはここ1、2年であり、この世代がリタイアする2015年以降は確実に仏花需要量が減る。現在は法人需要が少なくなった分、仏花需要がそれを補っているが、仏花需要がしっかりしているうちに切花・鉢物ともホームユースやちょっとした手土産の花を習慣付けてもらえるようプロモーションしていきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 2010年8月 9日 00:00

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