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2010年8月23日

秋の花はじまる

ようやくススキが出てきた。今年は秋の花が遅く、20日の声を聞いて秋の模様替えをしたいと考えている小売店は多かったが、ススキもトリカブトもミズヒキもまだ出荷がなく、ようやく今日から出荷が始まった。今年は残暑が続くと言うが、秋を楽しみたい気持ちが強い。

先週の19日から川崎市茶華道協会の「第122回いけ花と茶の湯の会」が川崎のさいか屋百貨店で開催されている。華道はたくさんの流派の先生方が78作品を出展している。トロピカルで異国情緒のもの、ひまわりを使ったものなど、夏を謳歌するような作品もあったが、ほとんどは秋を描いた作品が多かった。第122回で解かる通り、川崎市の華道家や茶道の先生方の結束は強い。
川崎市の地形は食パンの形をしており、東海道に接している面が縦の奥行きよりも狭い。だから地方の方は東京と横浜市が続いているように勘違いしている人もいる。また川崎は京浜工業地帯の中心で何やらスモッグがあるイメージを抱いている人も多い。実際はそうではなく、花の文化も古く、江戸時代には大森の隣の蒲田が枝物の一大産地で促成物のふかしの技術に秀でており、モモやユキヤナギ、紅切シマツツジなどの促成花木は有名だったが、その産地が時代とともに多摩川の上流である川崎市宮前区馬絹に移転した。そして今ではすべてと言っていいほどどの花作りに後継者がいる。馬絹地区で有名なのが枝物の束ねの技術でそれを「枝折(しおり)」と言うが、生産者の吉田義一さんは現代の名工として認定されている。活け花が盛んだから巧みの技術も活かされる。夏の終わりの花の展示会は活ける技術や花の持たせ方など見るべきものがある。

そしてもう一つ花や緑の話題がある。昨日の22日、ゴミを埋め立てて造られた島を「海の森」にしようと安藤忠雄氏が実行委員長になっている「海の森」の一般公開があったので見に行った。大田市場の前を通りお台場へ行く一般道があるが、今この「海の森」の予定地前に大きな橋を架けようとしている。葛西に行く橋で、これが出来たら大田市場と葛西市場は本当に近くなる。また築地が豊洲に移ったらこの3つの市場は本当に近くなる。いずれも夜間なら15分圏内というところだ。この「海の森」の予定地に風力発電機が立っている。また20年前にゴミで埋め立てられたので、メタンガスが出ていて、このメタンガスも電力に替えている。大田市場花き部の前の運河側用地で、都内で集められた落ち葉などを使って腐葉土を作っている。風向きによって臭いときもあるので、所轄の港湾局に文句を言ったりしていたが、「海の森」の作業風景を見ていて、あまり文句ばかり言っていてはいけないなと思った。20年も経ったから馴染んだとは言え、地表にきちんとした土を張らなければならない。海の上で風が強いからすぐ活着できる木とそうではない木があり、緑化で余った木を持ってくればいいというわけではない。大田市場から車で5分のところに埋立地の勝島の大きな公園があって、テニスコートや野球場、ドッグランなどがあり、木も本当に大きくなっている。30年~50年後、「海の森」を作るには、土を作り、東京港の人工島にふさわしい森を作っていく必要がある。植栽されている木を見ると落葉樹が少ないので、どうにか落葉樹の比率を更に高めてもらいたいと思いながら、1/9の進行具合の「海の森」で360度のパノラマを楽しんだ。完成は2016年だそうである。

投稿者 磯村信夫 : 2010年8月23日 00:00

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