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2010年11月22日

私なりの第9次卸売市場整備基本方針

今日は切物・枝物(以下:切)のクリスマスツリー市である。日本経済は決して順調だとは言えないが、それなりに落ち着きを見せており、最悪だった昨年の相場からすると平常の相場に戻り、4~5割高となった。繰り返すが、平常の状態に戻ったのであって、日経平均が10,000円に戻したのとほぼ同じニュアンスの商況であった。またアメリカ産のクリスマスツリーも小売店で販売が始まっているが、昨年よりも幸先が良く、例年並の販売を予測している小売店が多い。

クリスマスと言うと、すっかりリースが一般的になってしまったが、一本物のツリーを飾る人たちは少なからずいて、それもフェイクではなく本物のツリーが必要な人たちが専門店にオーダーをしてきている。家庭用はフェイクとリース、販促やらちょっとしたおしゃれな空間には本物のクリスマスツリー、このようにすみ分けてきている。切のクリスマスツリー市を見ていて、つくづく思うのだが、切のツリーの需要減とともに、ツリーを販売する市場の数はめっきり減った。だから大田市場はクリスマスツリーの大市をするが、他でやるところが少なくなったから活況になるのだ。

農水省卸売市場室が10月に出した第9次卸売市場整備基本方針はたぶん、宅配便やインターネットなど新しい商売環境の中で従来の卸売市場システムは大きな影響を受け、同じやり方をしていては存続することすら覚束なくなっていると警告を発して方針を出したのだろう。卸売市場は時代に適合できず、収益率が著しく低くなっている。卸と仲卸がいて卸売市場だが、青果の中央卸売市場の卸売会社の税引き前利益率は0.5%にも満たない。花も同様である。仲卸は2~3割が赤字である。花の仲卸は青果の仲卸よりもまだ良いが、本年は天候不順による不作単価高が続いているから大変だろう。少なくても1%の税引き前の売上高利益率が確保できないということは、その業界では合併するなり、新たな機能を身につけるなどして社会に役立つ存在にならなければいけないと言われる。

たまたま大田市場は魚と東洋一の青果を扱う青果市場が花よりも1年早く開場した。花き部が開場したときにはすでに日本の一流産地と各分野の一流小売店が大田市場を出荷や仕入の場所とした。だから花き部がそれなりに当初の計画を達成し、それなりに花き業界でも注目されるようになった。決して卸と仲卸の努力だけではない。まず地の利、そして卸売市場の機能を発揮させる人の利、そして大田市場は1990年の花博のときに出来たので花きが産業化するタイミングで時の利があった。このようにいくつかの幸運が重なったが、大田の後に開場した花き市場を見るといくつかの不幸が重なり、合併しても拠点化を図れなかった市場もある。もう一度花き業界の主役は生産者と消費者、準主役が小売店であることを認識し、あそこの市場に出荷したら儲かる、あそこの市場と付き合っていなければ状況の変化に的確に対応できない、明日が不安だと生産地と買参人に思ってもらえるようになっておく必要がある。

この第3四半期はもう一度地域に役立つ卸売市場としての機能と規模、そして数とネットワーク化を考える時としたい。人のことを考えられる元気なうちに一緒になるか、自分のことしか考えられなくなった赤字体質になってから合併のことを考えるかはえらい違いだ。二宮尊徳翁は我々に教えてくれる。貧乏な人も豊かな人もやっていることにはあまり変わりない。ただし豊かな人は今明日の仕事をし、乏しい人は今昨日の仕事をしている。我々は今、いつの仕事をしているのだろうか。

投稿者 磯村信夫 : 2010年11月22日 00:00

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