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2011年1月10日

2011年見通し②

2011年の予測の第二弾、今回は「ターゲットは団塊ジュニア」についてです。

アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校のギウリアーノ教授とIMFのスピリンドーゴ氏の気になる研究成果が『競争と公平感』(大竹文雄著)に取り上げられていた。内容はちょうど高校や大学を卒業した18~25歳の頃、不況を経験すると「成せば成る」の努力よりも運の方が成功への第一条件になるというものだ。今期の就職内定率を見ていても、内定をもらえたかもらえないかを努力より運に求める気持ちもよくわかる。しかもそれによって内向き思考が大変多くなる。

この研究成果の正しさを裏付けるかのように、結婚式で披露宴までする人は半分近くになってしまったという。皆さんの身近でも婚姻届は出すが、結婚式に同僚を呼ばない方たちも結構いるのではないだろうか。推定でしか申し上げられないが、結婚式の花の大手の花屋さんに聞くと、「半分くらいが両家のご家族だけでおしまいにしてしまう結婚式ではないでしょうか」とのことだ。不況が長く続いているので、披露宴もごくごく慎ましやかな、花屋さんの出番のない結婚式が30万組近くもある状況が今年も続く。
葬儀の場もご案内のように自宅からセレモニーホールになり、そこも部屋が大きすぎることとなってしまったところが多い。

日本で所得格差があるというのは不況の影響、ITの発達でコミュニケーション能力が必要で考える仕事が多くなり割合と簡単な仕事は非正規雇用としたため、またグローバリゼーションの影響、そして高齢化、さらに離婚率の増加などに原因を求めることが出来る。その中でも、何と言っても大きいのは高齢化の影響だ。会社勤めでも40歳から所得差が出る。60歳以上はもっとだ。70歳以上はさらに所得格差が広がる。したがって所得の面からも葬儀は小さくなっていくことが予測される。冠婚葬祭とも、半分は花屋さんのお出ましがなくなってしまったのが2010年で、この傾向は更に強まるものと予測される。

今年の経済界は「政治に頼らない」とどの会社でも言っており、2010年は2009年の売上を超えたので、今度は2008年の売上を抜くのが今年だとしている。法人税が5%少なくなるので、これを設備投資の財源にし、相変わらずコスト削減の手綱を緩めようとはしない。しかしコミュニケーションのツールとしての花の贈答はほとんどゼロから復活しており、企業業績を見てもまたM&Aの活動を見ても、法人需要がまだ低水準だが少し期待できる。そして需要がしっかりしているのは何と言っても、リタイアを前にした団塊の世代の家庭需要、仏花需要だ。しかし、これだけでは2008年水準を越えられない。超えるには新たに花の楽しみを習慣付けていく団塊ジュニアをターゲットにした売場作りが必要だ。シンプルに生きる上で、決して高価でない、質の高い生活をするためには花と緑は欠かせない。効能をしっかり明記して団塊ジュニアをターゲットに販売をしよう。日本の農産物でこれだけの国際競争力のある産物は他にあるだろうか。原産地表示や生産団体の顔などをしっかり明記し、旬を謳って販売したい。それができないところは花き業界のどの流通段階にいようがふるいにかけられていく。

投稿者 磯村信夫 : 2011年1月10日 00:00

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