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2011年11月14日

インフレになる前に利益確保

今朝、現場巡回をしていたら、夜間の荷捌きチームの現場に小さな冷蔵庫があった。しばらく私は家電量販店に行っていないが、雑誌によると日本は冷蔵庫や扇風機など身近な弱電の輸入国になっているらしい。それが大田花きの現場でも実際に起こっていた。「テレビもそのうち輸入品になるのではないでしょうかね」とその場にいた社員は言っていたが、それくらいの勢いだそうだ。

そういえばヨーロッパに行っても価格決定権は家電なら中国、テレビは韓国と中国、ラップトップのパソコンは中国、衣料品も中国やアジア、それよりもちょっと良いものが南米、このように新興国が価格のイニシアチブを握っている。そういえば日本では薬が高いが、ヨーロッパやアメリカではジェネリックの薬やビタミン剤など医療が発達したインド産のものも多く、日本で買うのが馬鹿らしくなる。すでに薬も価格のイニシアチブを新興国が握ったといえるだろう。化石燃料他、鉱物資源など食料まで含めて必要不可欠な一次産品の値上げに苦しんでいる世界、特に経済成長が著しい新興国はインフレで経済成長率が相殺されかねない。一方先進国はデフレ懸念だ。デフレが続くジャパナイゼーションはヨーロッパでは起こりそうなリスクがある。しかし人口が増え続けているアメリカでは、同じ先進国でもデフレの長期化のリスクは少ない。こう考えると先進国も今度のEUの経済危機が落ち着いて、少し経つとすなわち12年後半~13年にはインフレを懸念しなければならなくなるだろう。インフレはある意味で無益な税金のようなものだから、ここをどのようにしてきちんと納めるか、国家の経済手腕が問われるところである。

花き業界に置き換えると、切花のカーネーションの分野でコロンビアが価格のリーダーシップを握った。スプレー菊ではマレーシアが握った。コチョウランの鉢の分野では、特に台湾の業者が生産をしているベトナムと中国に価格のリーダーシップは移った。今後とも日本の花の卸売価格の決定権が海外に握られる場合が当然出てくる。それは平和で国際貿易が盛んだからである。そしてその価格決定権を持っている国々のインフレはかなりのところまで来ている。例えば船の運賃動向を決めるバルチック指数は高止まっており、運賃の値上げをせざるを得ず、これだけの円高を考慮しても、石油価格を下げるところまで行かない。(ウォン安の韓国では農家・運送業はもう油高で大変だ)

このように先進国のデフレ経済下の企業はもう我慢できないところまで来ているわけだ。日本では花き流通でもたくさんの市場、たくさんの仲卸、ヨーロッパの7~10倍と言われる花の小売店の店舗密度、そんなにたくさんの花店+量販店の花売場で皆が激しい競争の中、ある意味では利益を度外視して商売をしている。しかし利益が無ければ明日への投資が出来ないわけだから、早晩その企業は存続し得ない。

花き業界だけでなく、日本のあらゆる業界にこのような激しい競争があり、現在は流通業と倉庫運送業でM&Aや合併が加速している。早くて来年の下期から再来年の2013年度には日本でもインフレを心配するようになると、所得の二極化が企業、個人ともますます出てくるので、その前に取引先に役立つ効果的な仕組みをイノベーションするか、合併とリストラで規模の効率を図っていくかが日本のやっていかなければならない大切なことと言えるだろう。

投稿者 磯村信夫 : 2011年11月14日 00:00

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