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2011年11月21日

先週習った2つのこと

昨日の11月20日(日)、目黒の雅叙園でマナコフラワーアカデミー50周年と池坊東京武相会30周年の合同作品展示会と式典があった。目黒雅叙園の広い2階に展示された作品の数々に、1輪1輪の美しさを活かして奏でた造形を堪能した。式典に真子やすこ先生、るみこ先生を慕う教え子はもちろんのこと、花のすばらしさに感動した多数の人が駆けつけてすごい熱気であった。

さて今日は、先週の46週に習ったことで、心を捉えて離さない2つのことを皆様方にお話ししたいと思う。いずれも日経MJに載っていた記事だそうで、1つは博報堂生活総研の記事。もう1つはハーバード大学マイケルポーター氏のCSVの記事である。
先週、福島に行く機会があったが、車中から吾妻連峰、安達太良、そして磐梯山を臨むにつけ、日本でも有数の景観を誇る自然豊な福島をなぜ原発事故でこんなにしてしまったのか、激しい苛立ちを覚えた。博報堂生活総研は毎年定点調査をしている。震災後、生活者が目指すのは「自分で自分を運営する」という生き方で、社会における自分の役割を自分で作り、役割を果たそうとしている。このように自己責任の意識が高まり、社会の課題解決を自ら行っていこうという意識が高まっているそうだ。
ビジネスからしたら消費の現場で、生活者と社会的な課題とつなぎ支援をすることが企業のビジネスの機会であるとも伝えている。社会の人たちとつながりたいと思っている人が約60%いて、「自立なくして連携なし」としている人が約55%もいることは新しい日本を作っていく時代に入ったと言える。

またもう一つのマイケルポーター教授のCSVは、Creating Shared Valueという概念で、今年の夏に農業協同組合方式のオランダの花市場FloraHollandがマイケルポーター氏の授業に取り上げられ、その後FloraHollandはオランダのベアトリクス女王からロイヤルの称号を得た。その考え方である。今まで企業は競争相手を同業他社、仕入先、販売先、新規参入者、代替品としてきたが、CSVは長期的な成功を目指すため、企業と地域が協力し合って、品質の維持や健全な中産階級の維持、育成などを考えて、長期的に社会的便益を供与し、見返りとして応分な利益を得られるようにしなければならない。あくまでも社会的な便益を尽くすことにより、応分な対価を得るという協業の精神に則った仕事の仕方こそ本当の仕事だというのだ。世界はリーマンショック後、日本では東日本大震災後、本来人が持っている善意に目を向け、足元を照らし、自分の国から良くなっていこうとしているが、それは日本にとって決して内向きだけになるのではなく、花であれば日本の消費者にとってすでに欠かせない産地となった台湾、韓国、中国、マレーシア、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、コロンビア、ケニア、そしてオランダなどとそれぞれの社会がよくなる方向での取引をしていく必要があるということである。
すなわち、取引ではなく共通の目的を持った取り組みをしていく、これが仕事を通じた我々花き業界の課題なのである。仕事の社会的意義をもう一度見つめなおし、それに向かって全力でぶつかっていこうではないか。

投稿者 磯村信夫 : 2011年11月21日 16:52

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