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2012年7月23日

調達物流と収支

 6月の安値で産地はもちろんのこと、卸や仲卸で2桁マイナスであったところが多くある。2桁マイナスだと、6月はただでさえ赤字月なのに、さらにマイナスが多くなってしまったということだ。

 花き産業の場合、季節によって取扱高が違うのは止む得ないところだが、通年通じて赤字というのはいただけない。赤字は100%内部要因だ。それは外部で特別なことがあろうとも、状況が変化したら早速に対応しなければならない。しかし、この対応たるもの会社が大きくなればなる程難しい。例えば失礼だが、日本航空はこのままでは会社がもたないとわかっていたはずなのに、実際に潰れてみないとリストラが出来ず利益体質にならなかった。赤字企業というのは赤字を直視し赤字を改善しようとする人がいないことが問題なのだ。花き業界の中でもこういった"茹でガエル"がいるのは残念なことだ。"茹でガエル"になってはいけないと、産地は出荷先との取引でどのような収支になっているかを見直し、卸は社内と買い手との取引の収支を見直し、仲卸は仕入先と販売先の収支を見直し、小売は仕入先を見直す。厳しい経済環境下にあって、このような動きが目立ってきた。好調だった個人消費に限りが見え、消費税の値上げがほぼ決まり、値上げ前の駆け込み需要と値上げ後の消費不振で生き残りを賭けた戦いが2016年まで想定されるからだ。目立つのは産地の出荷先の選択で、利益が取れた実績のある先へ荷を寄せている。

 東京は5つの中央卸売市場の花き部があり、多摩の地方市場も頑張っている。特に23区内は、人口が増え続けており、今後とも花の消費は期待出来る。しかし、こういうところは日本全国見渡しても例外で、荷が捌け物流コストが相対的に安い場所となると産地の選択肢はそんなに多くない。どの地域も品揃えは花の場合必要不可欠だ。そうなった時に市場間ネットワークで品揃えを良くすることが地元の消費者の為に必要となる。出来れば市場協会の支所単位での品揃えの展開で、それが無理であれば近隣の市場の支所を巻き込んで調達物流を作っていく必要がある。品揃えをしても赤字になっては続かないから、地元の市場は小売店に事前に十分理解をしてもらうことが不可欠だ。地産地消と調達物流で地元の消費者が喜ぶ荷揃えをして利益を出す。その為にもまずは社内の意識改革、魅力ある商品の品揃え、さらに生産性の高い仕事のやり方への変革、この3つの改革を行わなければ自社が駄目になるという段階になっている。もう先延ばしは出来ない。

投稿者 磯村信夫 : 2012年7月23日 10:27

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