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2013年3月 4日

量販店花売場、健闘す

 大田市場の西側駐車場にある河津桜がようやく咲き始めた。雛祭りの時に咲くのは、2週間くらい今年は遅いのではないかと思う。その分、春を待ち焦がれる気持ちは強く、週末はよく売れたという小売店が多かった。

 2月の品目別実績を見てみると、花桃、菜の花、ラナンキュラスが昨年よりも良い結果を残した。
 昨年2月は29日まであり、結婚式用の花を手当てする水曜日から始まり、水曜日で終わったので、式場に花を入れているお花屋さんは仕入れが嵩んだ。
 一昨年、結婚式は3.11があったので年内中は見送り、週末のお日柄が良いこともあり、2012年は1月から結婚式が多かった。
 お祝い事だけではなく、仏事も絆消費で一昔前までとは言わないが、それに近い規模の葬儀が執り行われた。関東でそのようだったので、東北地方は毎週末慰霊祭のようなことが行われていた。
 昨年と比べ、2013年の今年は全て平常に戻り、1月から2月まで週末のお日柄もあまり良くないので、切花の単価は青果と同じ2割安となった。その中で、花桃、菜の花、ラナンキュラスが品目別に金額的にも前年実績を上回り、気を吐いたのである。

 花桃と菜の花が健闘したのは、スーパーマーケットや量販店で、花を購入することが日本国民に本格的に浸透し始めたことにある。その分街のお花屋さんはたまらないが、"祭事"というと量販店で間に合うようになってきたのである。
 そういう理由で、花束加工業者が増えてきた。量販店自らも自社加工するところが出てきて、今最も競争が激しくなっているのは、花束加工業界ではないかと思われる。セルフ販売の花束はパートさんが作成するので規格が揃っていることが必要で、産地は共選共販などで品質の平準化と量の確保をお願いしたい。
 そして、量販店の花売場の賑わいは、専門店の売り上げ減を意味し、新しい花のある生活を提案して、専門店としての存在意義を高めていく必要がある。そうでなければ廃業も残念ながら覚悟しておかなければならないだろう。

 また、ラナンキュラスの躍進は、バラと同等の価値あるものとして、この冬場に位置付けられている。この1月からは特に輸入品まで合わせてバラが不足しており、バラと併用する専門店が多い。
 少し話はそれるが、円安とASEAN諸国及び南米アフリカ諸国の最低賃金が上がりつつあることを懸念する輸入商社は多い。昨年の11月に比べ、一番高くなったタイは、円安2割、賃上げ2割の計4割仕入れコストが上がっている。もう国内生産減を輸入花で補うといった施策は難しいのではないか。もう少し単価を上げてくれないと、輸入も国内生産も減ってしまうという輸入商社も多い。

 さて、ラナンキュラスに話を戻して、ダリアに次いでオランダのベアトリクス女王さえ驚かせた最近の日本の花といえば、ラナンキュラスである。今後、冬場の花として、ますます消費量が増えていくと思われる。切花だけでなく、鉢物においてもその予兆は表れ始めている。

 最後に、2月末からマーケティングに優れたお花屋さんが数名言っていたことがある。それが、3月4日付けの日経MJでアイリスオーヤマの社長がお話されていたことと同じなので、ご紹介したい。
 そのお花屋さんの何軒かは70歳を過ぎると、ペットを飼うのが難しくなると考えているので、花を購入する頻度が増えたり、家の中の一箇所だけでなく、何箇所かに花を飾るという。どうも花とペットは同じお財布から出ているようで、70歳になったので、もうペットは飼えなくなり花を購入するという人も多くいるようだ。
 20世紀最後の10年が花・ガーデニングブーム、21世紀の初頭の10年からペットブーム。
 21世紀になって13年、そろそろペットは...。アイリスオーヤマの社長もまた花の需要が復活して来るのではないか。花のある生活が戻ってくるのではないかと見通しを立てている。
 そこで、需要を取りこぼすことのないように国内生産者、輸入商社の皆様方に頑張って生産して貰えるように応援をするのが、農協や普及所、市場の仕事となっている。

投稿者 磯村信夫 : 2013年3月 4日 14:53

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