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2013年4月22日

胡蝶蘭の切り花

 寒さが続き、供給が少なくなって切花の相場が2ヶ月ぶりに上がってきた。まだ白菊は安いが、それ以外の花は概ね例年通り、ものによっては平均相場のプラス10~20%高になっている。

 今年の東京は、桜の時期にちょうど高冷地のように、一度に様々な花が沢山咲いた。そういう状況だったので、この寒さで例年並みの季節の進み具合になって穴が開き、供給が少なくなったということであろう。昨年までと違うのは、国産品の出荷減を輸入花で補うことが為替の問題もあって単価的に難しくなったことだ。又、国内産地も更に出荷先の絞り込みを行い、大手市場に荷が寄ってきている。
 
 品目的にもその傾向がバラやトルコギキョウに顕著に表れており、1965年~1975年生れの広い意味での団塊ジュニアの世代が多くいる地域の市場が伸びている。この人たちと、その親である戦中から団塊の世代は、人生の通過儀式の仕方やら花を変えてきた。

 今年目立つのはランで、カトレアから胡蝶蘭に儀式で使われる花が変わりつつある点である。カトレアは、かさばるので遠隔地からの出荷はほとんどない。少なくとも輸送体系は傷みやすいので、直送でないと流通出来ない。胡蝶蘭は上手に荷造りするとアジア圏なら、傷まないで市場に届く。
そこで胡蝶蘭の得意な台湾は、アンスリウム・オンシジューム・トルコギキョウに次いで、胡蝶蘭の切花生産を本格化させる気運がある。
 
 台湾の生産者は、良いものとなると皆が作り始め、日本で相場が立たなくなると一気に作ることを止めてしまう。こういうことが時々あるので、台湾の輸出商の人たちと日本の主に輸入する協会と花市場は、しっかりと価値を保ちながら消費を拡大する施策を取っていく必要がある。
 
 日本国内でも胡蝶蘭の鉢物生産者が切花を生産したり、逆に将来の切花安を予想して、胡蝶蘭の切花生産から鉢物生産に向かっている生産者もいる。台湾の生産者は、どっと作ってペイしないと止めてしまう。これでは、せっかく消費を拡大したのに品物がないのでは困ってしまう。
 継続出荷、持続性を持って輸入商社は台湾の産地に今申し上げた事情を伝え、生産出荷をコントロールしてもらわなければならない。
 高額商品の花が上向いているというのに、台湾の生産者が水をさすのは止めてもらいたいというのは、私の気持ちだ。

投稿者 磯村信夫 : 2013年4月22日 17:49

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