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2013年7月22日

信頼

 パリのオートクチュールの記事によると、新たに中国人のお客さんが増えて復活の兆しが見えてきているという。
 ファッション評論家の大内順子さんは、大田花きの新品種の目利きアドバイザーを担ってくれているが、大内さんによると1着が日本円にして1000万~1500万円する服を、春・秋物で5着ずつ揃える人が世界に200人~250人いるという。 オートクチュールのお客さんは大金持ちで、その価値が分かる人でないと1人で鏡の前でドレスアップしても仕方がない。オートクチュールの服を着て行った方が良い社交界が世界にはあるのだろう。

 さて、それを聞いてグローバリゼーションの中でフリードマンが言う「フラット化する世界」ではなく、フロリダが言う「デコボコな世界」こそが、現在のグローバリゼーションの社会の在り様ではないだろうか、と観ている。
 中国政府の執行部の月給は、日本円にして約20万円位だと言われているが、どのようにすれば300億円も資産を持つようになるのか。まさに国・地域・人など「デコボコ化する世界」になっている。
 ブランド品を身に付けている人たちは、"類は友を呼ぶ"で、ネットワークを形成し、乗る車・身に付ける衣料・使うITなど国を越えて"自分は何者であるか"ブランドを通じて信頼のクレジットを表明する。

 世界中で孤独感や疎外感が深まっているのは、「デコボコ化する世界」で見られる現象である。その要因の一つは、国や大企業、そして社会や組織、家族に対する不信感の高まりだ。本来、信頼とは人格などの人の素晴らしさであったが、忙しくなり反射的に情報交換をする現在、信頼は交渉やら取引を通じて、初めて獲得するものとなった。信頼とは、一緒に目的を共にする行動志向の感情で、未来に対する期待に基礎を置いている。
 私たちが自分以外の人、夫婦間でも組織やブランド商品でも信頼するのは、将来その人が約束を守ってくれると思うからで、信頼は未来を予測することを可能にすると思うからだ。
 
 "任せておきなさい""期待通り""期待をはるかに超えて尽くしてくれる。"人はそういったところに信頼感を持つのだ。幸せも不幸せも、お金持ちも貧乏も相対的なもので、日本で働く者の30%が非正規雇用で、この10年間最も増えた所得の世帯は、300万円以下で25%も増えた。このような状況の中で安倍自民党は参院選で圧勝した。
 
 グローバリゼーションはフリードマンが言うように国ごとの格差は少なくなっていく。
 しかし、国を乗り越え、地域を限定していくと、まさに都市・国家のように「デコボコした世界」が展開されている。日本が開発したロボットを使う自動車組み立てラインが世界で使われるようになり、アメリカの大都市の中でも大卒者の比率が最も少ない都市の一つ、デトロイト市は先週、破産申請をした。こういう中で、自民公明の信頼、民主に対する不信頼が際立って表れた参院選だった。日本国民は現政府と一緒になって日本を更生しようとしているが、まだ日本は現実の世界を直視出来ていないように思う。

 私は、人はセルフチェックも含め、ダブルチェックをしないと悪いこともし兼ねないものだという「性弱説」の立場で判断をしているが、その大元には日本人が持っている「性善説」が本能のように下地にある。
 ブランドを通じて自分の生き方を表現するのではなく、惻隠の情こそ一番格好良い生き方であることを思い、国を運営していく、一人一人が生きていく。国防は専守防衛、商売は海外に出て行くとしても、地方に出て行くにしても"地元主義"、これが日本のどの業界でも通じる日本流の生き方ではないかと思う。
 デコボコ化した社会・世界をどのようにフラットにしていくか日本流のやり方は、旅館業の星野社長がおっしゃるように働く者の一人一人のマルチタスク化、多機能化であり、日本のODAが示すように重点投資は教育であろうと思う。

 まずは、捩れがなくなり政権が安定して良かった。後は多少未来を作る為に足元に利害調整の中で困難があっても、世界の先進国でよく言われる第二次世界大戦後のベビーブーマーが自分たちだけやりたいことをやって豊かな生活をし、子供たちの世代、孫の世代に取り返しのつかない借金を残したと言われないようにする。何も財政再建を一気にせよと言っているのではない。世界の今とこれからに自分の社会を合わせる。私の場合であれば、安定的に発展できるよう日本の花き業界を作っていくことだ。

 信頼とは、共に未来を作って行こうとする力。結果を残すべく、国政の仕切り直しが終わったので、未来のあるべき姿を作り行動することである。信頼の大元は財政と哲学であることは言うまでもない。

投稿者 磯村信夫 : 2013年7月22日 00:00

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