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2015年3月 9日

3月17日、みどりの日

 様々な需要で、3月のお花屋さんは本当に忙しい。今日9日から、いつも在宅ゼリで買っているお客さんもセリ場に来ていて、本格的な仕入れの日々となってきた。私ども大田花きでは、セリの師範が定期的にセリ人を指導している。当日のセリが終わった後、セリの良し悪しを、円陣を組んで師範が指摘していく。玄人のセリ人でなければ、目利きの上に空気も読むことが出来ない。そして、世は「一物多価」の時代というが、スイスをみて分かる通り、「一物一価」が作り手、売り手、そして買い手にも好ましいことは言うまでもない。一物多価となった時、少なくとも、同じものであるのに何故価格差が生じるのか、セリ人は理論づけなければならない。さらに、セリで最初に買う人は、花販売のプロだ。よく花を売る人ほど最初に買う。あまり売れない店ほど、どうでもいいからと待ち続けていると、たとえ1箱でも安く買えてしまうことがある。これはセリ人が下手なのである。大田花きではそのようなことを日々指摘し、徹底的にトレーニングしてセリをさせている。それは、日本の相場は大田花きのセリ場から生まれると自負しているからだ。

 さて、今日の立ち会いは、上(相場)はやや重いが順調で、大変活気のあるものとなったが、昨日の日曜日は国際婦人デーで、週末の店頭は賑わったところもあったのだろう。年に一回、新年の抱負を語り合う会を開催しているが、その男性陣から家内に花が届いた。都心の花店では、イタリアと同じように、ミモザを贈る日としてキャンペーンを行っている店があったが、自動車メーカーのFIATが大々的に宣伝していた通り、よく売れたそうである。

 皆様方は、イギリスのウィリアム王子が来日された時、横浜の外人墓地で、彼がバラの花のリースを捧げているニュースをご覧になっただろうか。横浜市は日本で第二位の人口の「市」であり、なんといってもお洒落な都市である。その外人墓地のすぐ側に、いくつもの人気商店街があるが、元町が「セント・パトリックスデー」にちなんで、みどりの日のパレードを開催するそうだ。「セント・パトリックスデー」は、東京では、表参道のパレードが有名だが、アメリカでは、シカゴやニューヨーク等、アイルランド移民カトリック系の人達が中心になって、みどりの洋服を身にまとい、みどりの食べ物、黒ビールではなく、みどりのビールを飲んで、アイルランドにキリスト教を広めたセントパトリックの命日(3月17日)に、みどりを大切にすることを訴える。元町では土曜日、14日のホワイトデーにパレードを開催するそうで、どんな仕掛けをして、花やみどりを楽しむのか、大変見ものだ。

 花や緑といえば、皆様方は「バイオフィリア」という言葉を御存じだろうか。生物や自然への愛情を指す言葉で、生物学者のE.O.ウィルソンが提唱した。例えばマンションでも、海や緑が見える向きの部屋が高いのは、我々人間が持っている「バイオフィリア」からである。この快適さというものは、脳内物資のエンドロフィンによるもので、中毒性のあるものではない。甘いお菓子や、たばこ、お酒は中毒になり、こういった欲に基づいた追い求めるものであれば、簡単に売れる。しかし、バイオフィリアからなるこの欲は、みどりの日や、あるいはホワイトデーのように、敢えてイベントをする。みんながやるから行う。こういったことをしていかないと、売れていかない。ここに、みどりや花の産業が今一つ大きくならない点がある。 「衣食足りて礼節を知る」であるので、文化的なもの、そして、環境の事を、あって当たり前でないことを前提に取り入れていくことで、現代社会の人間生活に欠かせないという知識と感覚を備える必要がある。

 3月のグリーンの日「セントパトリックスデー」を、花き業界人は是非とも注目してもらいたい。

投稿者 磯村信夫 : 2015年3月 9日 16:53

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