大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 問題解決はFlower Biz、Flower Friday・Weekend Flowerだ | トップ | 昨日の続きが今日ではない場合がある »

2016年6月 6日

卸売市場の第一の仕事はリテールサポート

 農林水産省の統計によると、平成27年の切花・鉢物出荷量は前年に比べ2%減少している。しかし、これは国産の花のことであり、円安で輸入切花の出荷量が減っていることを鑑みると、実際の流通量はこの2%より更に減っている。菊・バラ・カーネーションとも、国産のあと輸入品を売るのが日本の花市場の通例なので、輸入業者は高く買ったのに安く売られてはたまらないと、市場外流通を開拓し、卸売市場への流通量が減った。そして、市場に通う仲卸や花屋さんは「毎年5%以上、少なくなっているのではないか」という感じを持っている。また、卸売市場は、入荷も確かに減っているが、一週間あたりの延べ買参人数の減少を問題視しなければならない。廃業するお花屋さんが出たり、営業を続けていても月・金しか仕入れに来なかったり、「メインの市場の荷が少ないから品揃えが出来ない」と仕入れ先を増やして、市場に行く回数が減ったり等、買参人数の減少が経営上の問題となっている。これでは縮小均衡だ。花き振興法を作って頂き、予算を付けて頂いたのにも拘らず、これでは本当に申し訳ない。日々の業務を通じて、もっとどうにかしたい。

 卸売市場は、地元の生活者に花を供給する為に存在している。中央卸売市場、公設市場、第三セクター等は土地や施設を用意してもらい、卸・仲卸は家賃を払って営業する。一方、地方卸売市場は自分で土地を用意し開設しているが、産地に対する奨励金等は税法上、営業経費で計上することが出来る。このように、様々な便宜を図って貰っている。いずれも、「地元の生活者に花で幸せに感じてもらうことを仕事とせよ」と国や地方自治体から役割を仰せつかっているからだ。だからこそ、卸売市場は地元の小売・花売り場でもっと花が売れるように、仕入代理業に徹するべきである。

 花き卸売市場の役割も、リテールサポートの分野から様々なことが必要となってくる。例えば、先月、日本でも設立されたフラワーウォッチジャパン社の仕事だ。世界基準に合わせたMPSの安全・安心の花作り、流通に対する指導、また、生産者に対しては、何時にどのような開花ステージで採花すべきか、前処理をどのように行っていけば良いか等の指導とチェック。更に、輸送途中の鮮度保持においては、日本では小生が確認出来た限り、JA北空知広域連殿しか適応していない「温度×時間」という科学的な事実に基づく鮮度保持物流方法の確立。また、加工業者や小売店の後処理と水質等の適切な作業環境と販売環境。こういった管理が、日本の花き産業の中では、当然に中間物流業者の仕事にあろう。小売店や産地がフラワーウォッチジャパン社にお願いするのか、或いは、それと同等の機能を卸・仲卸が持つのか。それぞれ、経営方針によって分かれるだろう。しかし、現在、日本の花き消費・生産を拡大する為には、毎日の花き生産流通小売の仕事として、ここに挙げたフラワーウォッチ社のような指導やチェックが欠かせないのである。

 切花・鉢物とも、購入した人が「損をしたな」と感じさせないようにしなければならない。本当は出来るのに、残念ながら今は失望させかねない状況が、花き業界に少なからずあると小生は思っている。まず、バケツの水を綺麗にすること。これはすぐにでも出来るはずだ。一刻も早く、花き業界全体で、花もちを重要視したサプライチェーンとはどんなものか、良く知ることがまず必要だと思う次第である。知ったら実行だ。

投稿者 磯村信夫 : 2016年6月 6日 15:31

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.