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2005年10月 3日

花き業界で何ができるか

経験者を集めやすくなった。今から10年前は花の小売店で働いたことのある経験者を集めることは本当に難しかった。花束加工業者の社長さんは経験者優遇とリクルート雑誌に載せたりしていたが、一から教え込まなければならないことが多かった。それがここ2,3年で花店はよりスリム化して、家族だけでやろうと、パートやアルバイトに辞めてもらうことが多く、そういう人材が集まる状況になっていている。だから、量販店でインショップ化された花売り場でも経験者が集まるし、仲卸さんが取引先のために水揚げサービスをする場合でも人材が確保されている。

 これでは量販店がますます力を付けやすい状況が生まれているのだ。この点を専門店は意識し、ライバル店の品揃え、価格帯、販売方法などをチェックし、棲み分けて共栄していけるようにしていただきたい。

投稿者 磯村信夫 : 17:15

2005年8月29日

第15回大田花きバラ会の印象

先週の27日土曜日、第15回大田花きバラ会が開催された。140名あまりの方々が全国からご出席くださった。今回のポイントは21世紀の日本のバラ生産についてであった。午前の部では、小生の講演の他にオランダのアールスメーア中央生花市場のユルンさんからオランダの実態と、国内バラ生産者は今後どのようにケニアやエチオピアのバラと棲み分けようとしているかの対策についての講演があった。午後の部では現在当社が取り組んでいるマーケティングの一つの切り口として、「香り」の点から付加価値を創造しようと協業してくださっている元資生堂、パフューマリーケミスト、NPOバラ文化研究所のの蓬田氏から提案をしていただいた。

 私は冒頭の挨拶で次のようなことを伝えた。

 日本はバブルが崩壊して10余年、ようやく経済的に立ち直りを見せつつあり、大企業は国際的な経済活動を行っている。しかし、中小零細企業は国際化と規制緩和でややもすると自分を見失いがちである。自分を見失わないためにも、職業とは目的を持って存在しているわけだから、バラ作りの目的は日本の消費者にバラで幸せになってもらうこと。市場の目的は生産者から預かったバラを小売店を通して確実に消費者に届けること。小売店は地域の消費者のために品揃えや技術を磨き、花の分野でお役立ちすること。このように考え種苗から生産流通までサプライチェーンで全体の中の自分の役割に磨きをかけていく必要があることをお伝えした。

 前回のバラ会でもお話した通り、日本の消費は既に21世紀型になって歩み始めており、我々は本来の社会的使命に添って仕事を進めていけば、それぞれの分野で適合し存続できると思われる。土曜日のバラ会は成功したと思ったのは、引き締まった顔をしている生産者の方々が多かったからだ。

投稿者 磯村信夫 : 18:08

2005年7月 4日

2段階上がった競争レベル ?昨年と同じでは歯が立たず?

月間仕入れの平均が100万円前後というのが街のお花屋さんの一般像だ。他に物日や活け込み、定期的な納め、JFTDの通信販売を行い、2,500万から3,500万円ほどの年商である。この小売店さん達は、ロスが増えて利幅が少なくなってきたと感じたのが99年くらいからである。その間、業務改善を積極的にしていったが、ちょうどコンビニエンスストアは本部が資金的援助をし、おにぎりやお弁当が縮小均衡になるのを防いだ時期でもあった。20円引き、30円引き、これとこれを合わせて買えば幾ら値引きなどと提案し、店のオーナーがロスが出るので発注は少なくしようとする。そこにお惣菜屋さんやお弁当屋さんなどが出てきて、コンビニがおにぎりやお弁当の部分で負けるかもしれないとなったとき、ロスが出るのを避けたいオーナーは、当然余った分だけ少なく発注する。このように縮小均衡になっていくのだが、それをコンビニ本部は金銭的に補填し、縮小均衡を免れた時期があった。今年の冬から春もそうであった。そこで質を上げ、競争力のあるものにした。コンビニはこのような縮小均衡に陥らない手立てを打つのはシステム的に可能な業態だが、花の場合には仲卸や卸がそれをするというわけにはいかない。結局小売店に任せるしかない。何せ経営が違うのだから。もちろん縮小均衡は正しいことではなく、商品回転率を上げていくことこそ売上や利益を取っていくことに繋がる。また、競合店が増えれば増えるほど、お客様に支持されるだけの花の質や作業サービスの質が良く値頃であれば、競争が激しい分店は繁盛する。競争が激しくなって売上を落すのはどこで買っても大差のない質の花か、並のサービスしかしていないからだ。我が社の実績を見ても偉そうなことはいえないが、それが事実である。良い店、良い会社というのは競争が激しいほど際立つ。

 現在、街の小売店は更に縮小均衡化した。パートの人件費も削り、とにかく人手が足りない。だからセリ場を見ていても11時を過ぎて仕入れをしている人はセリ開始時の多くて半分、大抵は3分の1以下になる。このようなことで大田花きは花の相場の指標を生み出す社会的機能を果たせるのか。もちろん現実の問題として、当社の相場が指標とならざるを得ないが、いくつもの改善が必要である。

EUのように卸売市場の数を絞り込むことによって生み出される相場を真実に近いものにしていこうとする努力を続けていく。これも一策であるが、こういう合理性は国を“States”と呼ぶ国民にはあっても、“Nation”と呼ぶ国民にはなかなか持ち得ない。さすれば、実際のセリと自宅からセリに参加できるシステムを構築すること(これは東京都の買参権を取得した方のみに限られる)、そしてセリ前取り引きを一定割合行うことの2つが時代の要請だと感じている。一方、「卸売市場は物流センター化せよ」、「卸は問屋になれ」との声もある。この問屋になった卸とどのように競争し勝利していくか。その競争状態によっても海外の産地と競争し棲み分けを探る国内産地の大切な時期である昨今、状況判断を間違えてはならないと身を引き締めている。

投稿者 磯村信夫 : 18:19

2005年3月 7日

営業力強化の必要性

  大田花きでは役員室が事務所の大部屋とは別室にある。但し、兼務役員は事務所の大部屋と役員室に机を持つ。

 さて、暫くの間小生は営業勤務時間帯で仕事をしていなかったので、来期の成果目標を確認する意味もあり一週間ほど営業と同じ勤務時間で事務所内で執務をした。

 つくづく仕事というのはいかなる仕事でも実際にやってみないとわからないものだと実感した。かつてやっていたことがある仕事でも、今実際にやってみるとその難易度や気構えが変わっていたりするものだ。であるから、かなり先週一週間は勉強になった。仕事がよく見えただけではなく、仕事によって磨かれた能力や人格をも見てとれた。なるほど20歳代に量をこなしてきた者は30歳そこそこというのによく仕事が出来る。できる上司は若い部下に徹底的に仕事をさせている。殆ど家に寝に帰っているだけでは?という者も何人もいるが、彼らは性格的に面白味がないかといえば、一番人間味があって生き生きとしている。中には真面目むっつりの者もいるが、実績を見たら百発百中勝ちばかりだ。

 大田花きはロジスティック会社だと自らを規定しているが、ロジスティックは言うなれば野球のようなもので監督の采配が7、個人の技量が2、運が1なので、特にラインのリーダーの人選には気を遣っている。一方、営業はサッカーのようで、監督の采配が6、プレイヤーの技量が3、運が1だと思う。しかし当社の営業を見ていると、少し個人の力に頼りすぎている。これでは営業力強化が要望されるこの先2010年までの間に競り負ける可能性がある。少し負けて、その負けが続くと個人間に伝染してムードが悪くなる可能性がある。例えば今年の1・2月のようなときだ。だから小生は大部屋に営業部員の働きを見に行ったのだが、やはり本部長をはじめライン長の組織力が出来ていないと最終的な勝利を手にすることはできない。

 新年度に向け、既に昨年10月に人事体制を敷いているから、あとはリーダーシップのある者がトップダウンの形で目標を落としていけばよい。その過程で議論や説得で新しい方針が一人ひとりの心の中に明確になっていく。それを今週中には終えていることだろう。

 現在大田花きでは営業に改善・改革の気運が盛り上がってきている。多分思いの外早いうちに営業力が何割か強くなっていることと思う。楽しみである。

投稿者 磯村信夫 : 18:42

2005年2月28日

売れる仕組みを作ろう

今年の2月は昨年に比べて売上高が10%下回ったところが多いようだ。昨年はたまたま凄い寒さで葬儀需要が多かったこと、景気が上昇トレンドに転じていたこと、出荷量が少なかったことで堅調相場となった。本年は台風や日射量不足によって切花、鉢物とも入荷が10%強少なかったわけだが、個人消費が下方トレンドであったこと、地方において米価の下落が響き、兼業農家の副収入(本業はサラリーマンでサイドビジネスが農業。このサイドビジネスでの米の収入が個人消費に与える影響が大きい。)が下がったこと、雪が多く出歩く人たちが少なかったこともあり、思いのほか地方消費は低調に推移した。よって、昨年よりも取扱金額は低かったといえども、凡そ平年並みの商いとなっている。

 “1・2月は個人需要をターゲットにするというより、むしろ葬式・結婚式・ディスプレイ・仏花用にポイントを置いて品揃えをしていく”というのが「専門店」の買い物動向で、「駅中・駅前・ショッピングモール内の店・量販店」は“個人需要向けの品揃え”を心がけていた。残念なのは集客力はあるが、手不足やノウハウ不足から量販店は明らかに売り損なっているところが多いことだ。産地による銘柄の品質差を小売価格に反映させるべく、ポップで説明したり、品出しを機敏にしたり、販売開始前に下準備を十二分に行ったり、開始前の1分間ミーティングを行っていないところがある。これは専門店も同様だが、商売前のミーティングを行わずして、ずるずると販売に入ってしまう。それではその後のやる気と段取りに大きく非効率が生じ、この土日のように取れるはずの3月の先取り日でも売り損なってしまうという売り場が出てくる。売り場によっては心意気に温度差が生じているのではないか。その機会損失があるとするならば、卸・仲卸はこの点をお手伝いする必要を強く感じる。

まずは5Sに基づいた仕事の仕方を徹底することによって、花き業界はあと売上げの1割・2割は簡単に伸ばせるように感じている。

投稿者 磯村信夫 : 18:44

2005年2月 7日

商売は人

 来年度の採用戦線で、各企業新卒採用数を大幅に伸ばしていることから、競争レベルが明らかに上がってきている。IQは未来を見通すために欠かせないが、どこの企業も定番になってきたEQの高い学生を採用しようとしている。ここ5年間で即戦力の中途採用を増やした企業が多かったが、EQを推し測ったとき高いEQを持っている新卒者をじっくり育てることが企業の将来には欠かせないと気付いたようだ。花き業界はゲマインシャフトとゲゼルシャフトとを混同している人が多く、少し良いと満足してしまい進歩が見られなくなる。売上が頭打ちになるとすぐ縮小均衡策を採る。このようにして、全体から言うと停滞した状況が続いているが、いま一度社内人事や新卒者の採用など、20代、30代の若い力に期待したいものである。

 さて、先週中国の上海で2005上海年宵花会第1回が開催された。日本からは私どもが3ブース、そしてフラワーアレンジのデモンストレーションに日比谷花壇殿が参加した。「日本の花を見てもらおう。こんなにも葉まで均衡が取れている。鉢物もこんなに完璧。」と上海の人たちに知ってもらいたいと思い、日本の花の素晴らしさをアピールした。日本の花き業界で最高レベルの出荷団体と生産者の方に切花で11品目27品種、鉢物で洋ラン鉢4品目を出荷してもらい、ハンドキャリーで持ち込んだ。

 日本の『日本経済新聞』に当たる現地の経済紙の100%子会社が花の新聞を作っているが、業界紙だけでなく一般紙も日本の花の素晴らしさを広く伝えてくれた。将来のお客様に日本の花を紹介できたことは大変有意義であった。

 ご協力いただきました農協・生産者の方々、大変ありがとうございました。

投稿者 磯村信夫 : 18:47

2005年1月10日

昨年末の売れ具合

 新年明けましておめでとうございます。

 宿題だった昨年末の小売販売状況ですが、殆ど日本中の花店は気持ちの上で27日(月)に一括仕入れであった上、止め市の29日は降雪予報、31日は高速道路がストップするくらいの大雪に見舞われてしまい、それが初市以降の先週1週間、パッとしない商況が続いた理由です。12月1ヶ月を通すと前年並みを確保できた小売店でも良い所で、他の小売業者はいずれも前年を割り込みました。

 お天気はどうしようもありませんから、そういうものとして受け止めていきますが、昨年末には新たに発見したものがありました。それは、小売店とお客さん、その家族との人間関係の大切さ。そして、その店が良い人間関係をお客様と作っているかどうかは、仏花の売れ具合を通して見てとれるということです。マンションなどにはどのくらい仏壇があるのか分かりませんが、両親とも亡くなった家では写真や花などを手向けているはずです。ですから伝統的な仏花とは違うかもしれませんが、ミニブーケなどもそういった役どころで使われているようです。言いたいことは、お客さんとの人間関係をどのように構築していくかということが独立した店舗にとって欠かせないということです。まして、これから人口減少社会に入るわけですから、寒かったら「お届けしましょうか」というくらいの親しい仲になっておくことが、花屋仕事の「張り」と店の繁栄に繋がるのだという発見でした。駅中や繁華街の小売店ではサカキや仏花を置いていないところもあるようですが、何かうまい工夫をして欲しいものです。

 さて、今年1年の計ですが、私個人としては「私たちは先人を越える義務がある」と決心しました。これはやる気満々で決心したというよりも、なんとなくそう思っているうちに決心となって固まってしまったようです。私たちは日本の花き業界を造ってくれた人たちの後を歩いてここまで来たのですから、その志を受け継ぎ後輩たちが十二分に力を発揮できるように更に先人を越えて努力していくということです。なにやら言葉に出すと勇ましそうで大変そうにも聞こえますが、大層なことではありません。そういう志を持って仕事にあたり、自分の周りの人たちに接していこうということです。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

投稿者 磯村信夫 : 18:55

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