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2012年3月12日

ホワイトデー

 先週の3月8日、仕事仲間から家内に国際婦人デーでアカシアの入った花束がプレゼントされた。ボリュームいっぱいだったから4つに分けて飾っているが、春の花は美しいだけではなく、陽気で思わずウキウキニコニコしてしまう。バレンタインデーは、西洋特にイギリスを中心にしたアングロサクソンの人達の習慣で愛する人に花をあげる。ヨーロッパでもロシア正教の東欧や旧ソ連邦の国々は、3月8日の国際婦人デーに職場の女性や愛する女性に花を贈る。男性の散財たるものは大変なもので、この日の為に花代を貯金しているというくらいである。

 今週は3月14日がホワイトデーで特に日本、韓国、台湾はとても大切な日としており、ホワイトデーに花やお返しの品々を贈る。中国本土は、すぐにお返しをすると水くさい、或いは「もう贈らないでくれ」とのメッセージになってしまうので、頂いたものは頂きっぱなしでいるくらいが良い。しかし、文化が非常に日本と似通っている韓国では花をホワイトデーに贈ることも多いが、一番の人気はぬいぐるみだ。本命へのホワイトデーで大きなぬいぐるみを抱えている青年の姿をよく見る。台湾は日本と同じように花かスイーツをホワイトデーにお返しする。
 今年のバレンタインはチョコレート業界ではあまり売り上げ数が良くなかったと言う。きっと3.11によって価値観が変化した為、絆消費が多くなり、職場でギリチョコというよりも縁の深い人達へチョコレートを贈った為だろう。なので数が減少している。多様化の中でフラワーバレンタインで花を贈る人も増えているので、プレゼントする品物はチョコレートだけではなくなっている。

 花はホワイトデーに多く使われるアイテムだ。千葉・愛知・熊本の3県は合同のプロモーション活動として「ホワイトデーにはカラーの花を」とお花屋さんへ消費者にお勧めして欲しいと訴えている。今までのホワイトデーよりもさらに絆を深く意識した、本命に花をプレゼントするというのは絆から「生きること」を大事にしようとする気持ちの表れであろうと思う。
今日の立ち合いはホワイトデーと彼岸の入り、卒業式に向けた流れで、今週はバラ・ガーベラ・スイートピーが品薄だった為、チューリップ・ラナンキュラスに人気が集まっている。

 バレンタインデーもホワイトデーも将来はもっと絆の深い者同士がプレゼントし合うようになり、イベントとしての経済規模は縮小すると思われるが、現在の職場内や取引先同士から、恋人達や家族の者へプレゼントすることにより我が家の国際婦人デーでいただいた花ではないが、「もうすぐ春ですよ」というメッセージを届ける大切な祭事になっていく。絆消費は家族を想うところから出発しており、結婚式も誕生日も主役は新郎新婦や本人ではなく、両親・兄弟・友人に感謝する日になっている。バレンタインデー、ホワイトデーは自分をはぐくんでくれている全てに感謝することに意味があり、花の出番がある。

投稿者 磯村信夫 : 16:36

2012年3月 5日

新しい消費者の動きに呼応する若手の花店に期待

今年は、スキー学校などが取り止めになった福島のスキー場に行こうと計画し、3・4日の土日でグランデコに行ってきた。お客さんは例年よりも2割少ないということだが、吾妻連峰で放射能を防いでくれた会津地方でもゴンドラを長く待つということはほとんどなく、雲一つない晴天の中スキーを楽しんだ。福島県を思うと今後とも原発問題と共に生きていかなければならない受け入れたくない現実がある。米・野菜・茸は大変だが、花は見るものだから内部被爆の心配がない。花市場は正確なセシウムレベルの情報を小売店とも共有し、福島県の生産者の花を力売し、福島では花のウェイトを上げて面積を拡大してもらいたい。私達が仕事を通じて出来るのはそれが第一だろう。
 
「今頃の若者は」などと、いつの時代でも大人たちは言うが、若者はその時代に欠けていて、必ずその国が良くなっていく方向に自分の目標を据えるものだと思う。3.11以降、フェアートレードだとか、ボランティアだとか、或いは趣味を通じて社会的な貢献をしていくだとか、若い人が率先して新しい日本人として行動している。団塊世代の私が言うと「義を見てせざるは勇無きなり」となるが、若い人達は力まず肩の力を抜いて、さりげなくそのことを行っていこうとしている。しかし決意は固い。花き業界で言うと、JFTDの支部活動や勉強会など3.11以降、若い人を中心により熱心に行われていて傍から見ていても繋がりが強くなって、花の専門店としてさらに消費者を喜ばせたい、購入して下さったお客様に花の良さを際立たせ、結婚式やらお葬式やらお誕生日プレゼントやら、その場のシーンをよりお客様の目的が絡むものにする小道具としての花「Say it with flowers」をプロとして提供したい、という欲求で満ち溢れている。
 2012年春本番、若いお花屋さん達に期待できると思うと、どの様な卒業式の花が今年は登場するか、どんな取り合わせと形の花が登場するか、来週お花屋さん回りをするのが今から楽しみである。

投稿者 磯村信夫 : 12:24

2012年2月27日

第9週、今週中に3月の仕入れ計画を立てて下さい

 花の取引は実質、今日から3月に入ったと思う。ちょっと余談だが、季節を日の長さで感じる国民と温度で感じる国民がいる。前者がヨーロッパ人で、後者が日本人である。日本でも例外的に札幌の緯度だと日の長さで感じるかもしれない。
 それにしても今年は寒かったから、露地花のように積算温度で土が温まってきて花が咲くものが遅れ気味だ。しかし、温室のものは日が長くなって咲き始めてきた。そこで第9週の2月末の今日の月曜から量的にも3月の立会いとなってきた。今迄量が少なかったから、生産者も消費者に届けるお花屋さんも大変だったろう。3月は12月と同様、1年で最も消費が増える時期だ。卒業式が今週から始まり、雛祭り、8日の国際婦人デーでミモザアカシア、結婚式も始まって、3.11そして3.14のホワイトデー、次の土曜は17日お彼岸の入りで、20日がお中日で休日。それが終わると大学の卒業式が本格化して離任式や結婚式など、花き業界は忙しすぎてうれしいやら何やらであっという間に過ぎていく。そんなうれしい悲鳴の3月である。こんなに見える需要がしっかりあるのだが、花き業界で忘れてはならないのが、需要に合わせて供給サイドで極力普段の価格で良いものを届ける努力だ。
 2月の消費者と3月の消費者は変わらない。たしかに3月になって花を必要としているからといって消費者は高くても良いと思っているわけではないのだ。賢い消費者、価値を見出す消費者、この2つの買い方を消費者はする。花好きの人は、どんと買う。しかし、花も普通の消費材と同じように考えている人は量は買うが、或いは頻度を増して何回か3月のうちに買うが、高かったら違う店に行く。この様に普通の消費行動を花においてもするのが3.11後。日本人は消費の面でも変わった。花き業界では時折、21世紀に生きていて未だに昭和の商売をしようとしている人がいる。そういう人に限ってぼやく。自立した、四季折々の祭事や人との繋がりを大切にする日本人が消費者だ。幸い今年は沖縄産の菊類が2010年よりも5%程少ないだけの出荷量が確保出来ているという。こちらは寒かったが、沖縄は例年通りの天候で生育も順調だという。消費者やお花屋さんに安心して、3.11やお彼岸の花を使ってくださいと言える。これだけ多岐に渡る消費が3月にあるわけだから、定番で使われる切花・鉢物・苗物などは可能な限り契約取引で事前に手当てしておくのが良いのではないかと思う。小売店の皆さんは今利用している市場に相談し、今年は何が少ないかどうか把握しておくことも必要だ。例えば、去年は3.11でチューリップの切花など超安値で生産者は球根代にもならずに大赤字だった品目がある。そういうものはさすがに今年は生産が少ない。沖縄が菊類を今年もしっかりと出荷してくれるのも農協がそれぞれ農家に金銭面、苗の手当て、また精神的にも的確な援助がなされた為だ。そういうことを市場は把握しており、是非とも間際になってあわてない様、消費者に迷惑がかからぬ様、小売店は仕入先の市場に早く生産状況を聞いて仕入計画を立ててもらいたい。今日から3月の需要がいよいよ始まった。まだ仕入れ計画を立てていない人は今週中にお願いしたい。

投稿者 磯村信夫 : 10:53

2012年2月20日

基準は潜在需要

 昨日の上越湯沢地方は久し振りに晴れて絶好のスキー日和であった。
 ワールドカップのモーグルで上村選手は今季復帰したのに2位になり、ファンを沸かせた。持ち前のスピードは衰えず、結婚して何か落ち着きを見せたように思う。
 私は暇を見つけて冬はスキーに行っている。歳と共に衰えていくチャレンジ魂をこんなことではいけないと持続させ果敢にチャレンジし、さらに良い滑りがあるはずだと斜面やコンディションに合わせ、今年の課題を見つけてそれに向けて練習している。このことは、仕事をしていく上で良い影響を与えてくれているように思う。
 今、来期に向けて予算を最終的に固める時期だが、事業計画予算を考えるとき成熟社会の日本において何が大切かというと、私は潜在需要に的を絞ることにしようと思いたった。切花、鉢物、或いは植木もそうだが、少子高齢化の日本にとって花と緑の潜在需要は多い。ますます潤いのある生活には花と緑の出番が多くなっていくことだろう。そして、事業計画を考える上での「潜在需要」とは、大田花きの事業において、どんな業態の小売店が伸び、どの会社・生産地が具体的に伸び、どの花が伸びていくか、可能性のある取引先との取引ではなく取り組みを行いサプライチェーンを形成していく。それも集中して行うことだ。中核市場としての役目を考えたとき、そして、首都圏の地域市場としての役目を考えて、大田花きは仲卸や地域市場と協業したり、地元であれば直接に、小さくても味があるその分野No,1のトップフローリストと花束加工業者・量販店の2つのカテゴリーに特化し、人・物・金・情報の投資を積極的に行う。そして、それによって自社の繁栄を勝取る。こうすることにした。  
大切なのは、潜在需要でこれを具体的にこの世に生み出す。そういう創る仕事を来期徹底的にしてやっていきたいと思う。何事もチャレンジすることはワクワクするものだ。

投稿者 磯村信夫 : 12:06

2012年2月13日

フラワーバレンタイン

 11日(土)、茨城県のつくばで「いばらき花フェスタ」が開催された。入場料を頂いて、会場に入ってもらうつくばのフラワーイベントだが、開場前から人が集まり始め大盛況であった。
 茨城県の県内生産者が生産している花を出品しコンテストも行われたが、入賞したものは白色が多く、冠婚葬祭の需要はしっかりしていて、そこで使われる花は利益が出ているのだろう。本当に品質の優れているものが多く圧倒されたが、入賞作品を集めた展示場では、せっかくなので多彩な色目があった方が良いという印象であった。会場のつくば市は緑に囲まれた都市生活が出来る街として今後も発展していく注目の市だ。
 茨城県のこの花フェスタは、種苗から生産、卸売流通、JFTD、ガーデニング・ハンギングバスケット協会、フラワーデザイン協会、そして行政まで、実際に県内の花き産業をもりたてている人達が主催している会である。小生は話しには聞いていたが、実際に参加してみて熱気と盛り上がりを感じた。その会場の一部でフラワーバレンタイン用に奥さんや恋人に花をプレゼントして下さい、と男性に花がプレゼントされた。
 11日(土)、12日(日)とフラワーバレンタインとして男性から女性へ花を贈るという新しい習慣を身につけて貰おうと花普及センターが事務局で、花き業界全体が参加して日本各所で行事が行われた。
 私は花の流通を仕事にしているのでお花屋さんで花を買うことは恥ずかしくないが、1970年代生まれの団塊ジュニアより前に生まれた人達は、男性がお花屋さんに入るのは恥ずかしいと思っている人達が多いらしい。プレゼントして女性が喜ぶのは1番目に宝飾品、2番目に花だそうだが、宝飾品は好みもサイズもあるし値段も張るから花が手軽なものとして欧米では使われている。
 男性から花を贈る習慣、又男性がお花屋さんに行く習慣をつけて貰うのがフラワーバレンタインの目的だ。今年で2年目だが、日本中で行われていて、お花屋さんも13日の夕方や14日にはバレンタイン用の花が売れていくことだろう。後は、天気がちょっと心配なだけだ。花き業界は欲張りでホワイトデーに花を贈ってもらおうとも思っている。ホワイトデーの花に採り上げてもらおうとカラーの産地は業界向けにキャンペーンを行っている。雑誌の企画で格好良い男達は花を知らなくてはならないといくつか花の基本を教えている。グローバリゼーションが花に対する知識や行動を後押ししている。ストレス社会が花の価値を我々に教えてくれる。
 街のお菓子屋さんがバレンタインデーのチョコレートがあまり売れなくなったと嘆く今、我々花屋がイギリスを見習って男性から女性へと花を贈る習慣を定着させたいと思っている。先頭に立って頑張ってくれている青山フラワーマ-ケットの井上社長、日比谷花壇の宮島社長に続けとばかりにどうしてもフラワーバレンタインの活動を成功させていきたいと花関係者は思っている。

投稿者 磯村信夫 : 12:40

2012年2月 6日

花は質を下げてはいけません

 関東東海花展が昨日閉幕した。毎年この時期池袋サンシャインで開催されるこの展覧会は、私が知る限り最も品質高い展覧会である。開会式の時、田島生産協会会長が、「ちょっと品質がおちたんじゃないか」とおっしゃった。「たしかにそうですね。油が高く、なかなか十分に温度をとり難いが、頑張って良いものを作ってもらわないといけませんね」と返事をした。残念ながら今年は天候のせいもあり、品質は例年より落ちていた。
 花は少子高齢化でも需要は減らない。胃袋に入るものを作っている農業は少子高齢化で、人数が少なくなるだけでなく胃も小さくなって同じだけの量を作ったら余る。しかし花は住環境が改善され、一人あたりの居住空間は広がって町並みも整う。ガーデニングにいたっては、「漸く暇が出来て初めて菜園かガーデニング」が出来ると喜んでいた団塊世代の人は多い。花は人口動態から見ても需要が増えるから、或いは、増える可能性があるから質を落としてはいけないのだ。理由はこうだ。食事は素材の良さと料理人の腕の良さがあいまって美味しい食事が提供される。ウエイトは料理人の腕が上で素材はその次となる。そして、食べてしまったらお腹を壊してしまわない限り食事の役目は一応済む。花は素材の良さと花を活けた人の腕による。美しさは同じ花の素材を使っても断然違う。そして活けられた花はそこからがスタートだ。食べてなくなるわけではない。活けた瞬間はたしかに腕前に価値があり、ついで素材の花だ。しかし、翌日翌々日と徐々に花の持つ生命力や輝きが俄然価値を帯びてくる。生産者の責任は、切花でも一週間近く花持ちがする様に健康な身体で市場へ送り出すこと。苗物や鉢物は、一ヶ月や三ヶ月、もっと長い期間生産者は責任を持つぐらいの意気込みで生産する必要がある。だから花は品質を絶対落としてはならないのだ。その花の天寿なら仕方ないが、金儲けに走って品質を損ねるようなことがあってはならない。花は、少子高齢化は決してマイナスではないのだ。むしろ需要を作り出すことが出来る。ただし、国民が憂いなく生活できるということが前提だ。花は長い間、補助金も貰わずに民々でやってきたから非常に強い生産者が沢山いる。今なら後ろ向きの気持ちを持つな、と云い一緒に需要拡大に向けて努力出来る。
 まずは、良いものを作った人をきちっとした評価と報酬が行くようにする。法人需要が減っているし結婚式も多くない。葬儀も花で祭壇を作っているのは全体の3割だ。しかし、このような状況下でも市場は良い品物を丁寧に説明してお花屋さんに売ることを約束しよう。自分をブランド化する為、ロゴや屋号をぜひともつけてほしい。送り状のところや、或いは、箱などに大田花きなら日本で一番最初に機械セリをしたから、あのロゴマークを書いて大田花きと書くように、ロゴがなかったら屋号を、そしてもうひとつ、自分の花の写真か農場の花の写真を出荷先の市場に送ってもらいたい。良い外見と中身も揃った品質、そしてロゴか屋号、また作っている花の写真と農場や作っている責任者の写真、これでもって手を抜かずにしっかりとしたものを作って需要を逃がさない。一緒にその需要を増やそうではありませんか。

投稿者 磯村信夫 : 15:51

2012年1月16日

合併相談所

 今日から新セリ機でセリを行なっている。クラウドコンピューターですっかりコンピューターが身近な通信手段となった。何も電子頭脳を1台1台のコンピューターが持つ必要は無い。社会の公共財のような頭脳を大きなコンピューターに処理してもらって我々はインターネットでつながって自分が生きていく情報をやりとりし、行動できれば良い。こう個人もiPhoneやiPadを使ってそうなってきたし、仕事をそうしていこうというのが大田花きの考えだ。
 大田花き買参人さんは年配の方でも、ことIT使用については10才以上も若いんじゃないかと思われる位、機械操作も反射神経も優れている。何しろ今までのセリ時計で自分の思った値段で買っているのだから、この反射神経と能力は本当にすばらしい。クラウド時代の取引システムで卸売市場で象徴的なセリシステムが順調に進みだしたことはフェアな価格発見と成功共有化を旨とする大田花きとして、今日は1つの記念すべき日となろう。
 さて、先週の1月10日(火)日本農業新聞の1面記事は会社合併「兵庫県生花と鶴見花き」の記事だった。花だけでなく、卸売市場はM&Aや合併の時となっており、新しい卸売会社のありようを産地や小売店に具体的に見せ、利用価値を訴えて地域社会で生き残っていきたいと考えている。兵庫県生花と鶴見花きは、大手の業者として人材も豊富なので、いち早い話し合いがもたれたのであろう。先見の明があり、勇気ある立派な経営行動である。
 しかし、花き卸売市場協会の会員市場の大多数が30億円未満である。会員の最も多いこの規模の会社は経営者一人の肩にかかっていると言っても言い過ぎではないであろう。そうなると危機感はあるが合併のことについて知識、情報、時間が不足しがちである。可能な限り地域の中核的な花き卸売市場としてはしっかりとした荷揃えをし、小売店が売り負けない規模の卸売市場を目指して欲しい。そうしないと買参人様から魅力ある市場と言われなくなってしまう。
 合併問題はデリケートなので、市場協会として支所長やニュートラルな学識経験者に大所高所からご指導いただけるようなことを考えていこうと思う。

投稿者 磯村信夫 : 16:24

2012年1月 4日

新年明けましておめでとうございます

昨年の暮れは順調な売れ行きであったところが多く、小売店の頑張りに感謝する次第です。
売れ行きを見てみますとダブルインカムの世代である1970年代生まれの人たちを引き寄せた花店は、松と千両が高かったものの、上手に商品づくりが行われ、あるいは価格設定がスマートで今後とも期待できるお店作りが出来ていたなと思われます。また年末お店を閉めた後、ウィンドウディスプレイならぬちょっと見えるところで、外からの視線を意識したお正月飾りで通行人をおもてなししてあって、さすがこのお店は違うなとの印象を受けました。
このように細やかな配慮で需要を生み出す仕組みや作法を業界上げてやってゆきたいと思う次第です。

今年も一年間ご愛読のほどよろしくお願いいたします。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年11月28日

年末市況を占う

第48週の今週で12月となる。昨日はいい天気だったから、繁華街が賑わっていただけでなく身近にある紅葉を見るために、公園や街を散歩する人たちが多くいた。勤労感謝の日以降、暮れに向けて少しずつ活気付いてきているような気がする。

松市、千両市は関西が12月に入るとすぐ行うところもあるなど先行し、東京の花き市場は可能な限り遅い市をしようと開催日を後ろにずらしている。今年気になるのが食品スーパーが持っている東京電力福島第一原子力発電所の事故による茨城の松や千両の被ばく状況についての心配だ。東京近郊ではないが、ある食品スーパーで、茨城県産以外のものを要望するところがあり、社内の品質カイゼン室は急ぎ、実際の被災状況を調査するなど、実体解明に先週動いた。結局いわゆる風評であったが、風評被害をなくすため、都内花き市場だけでなく、松・千両市が早い関西の市場にも情報を共有してもらった。花の卸売市場は1年1回の市にがんばって茨城の松・千両を売っていきたい。
(※さらに詳しい情報は大田花き 品質カイゼン室 五十嵐・平野まで)

さて、本題の暮れの花の景気動向だが、暖冬の影響とタイの洪水、EUの金融不安による実体経済の落ち込みなどが10月中旬から出てきて、11月に入り週末に天候が恵まれず消費量が前年の90%くらい、単価が10%減の90%となって、9×9=81の売上になった小売や仲卸、卸も出るなど、昨年と同じ仕事の仕方だと2割減の状況に陥っている。ニューヨークウォール街の格差是正デモ、格差政策反対デモで示すとおり、日本でも実態は一部の裕福層と中産階級が壊れて下向している。この実体をどうにか是正しようと、野田政権がかざす中産階級の維持・育成政策や税制の見直しを行おうという機運が震災後の日本の復興意識の中に出てきた。

花の消費のパイは1999年、日本人の総所得が減り始めてから、右肩下がりで下がっていった。すなわち花のような生活に彩を添える商品は、健全な中産階級がそれにふさわしい生活を行っていない限り、消費は維持ないし増加することはない。団塊ジュニアの層は毎年所得が上がり、40歳までは正社員である限り前年をクリアしているから、この層をターゲットにした花の小売店、例えば青山フラワーマーケット殿のように堅調な伸びを見せているところもあるが、40歳を過ぎてからは所得が伸びる人と伸びない人がいるし、会社も伸びている会社と縮んでいく会社などが明確になっていくから、ここからはある意味で各自各社の自助努力より政治の問題と言える。しかし日本は既婚女性が働き続ける傾向にあり、夫婦の収入を合わせると中産階級の水準に入る。しかも親の援助もある。したがって日本はG7の中で個人消費とGDPの維持は決して暗くない。

10月以降、日本は気持ちは前向きだが、経済はより厳しくなっていく中にあって、少なくても働く半数の人たちの世帯が前向きな消費行動を起こせるような実際の収入を維持しなければならない。これは女性の更なる社会進出で可能である。政治も企業もヤングママが安心して働ける環境を作っていくことが必要だ。しかし今だその実体はプアーだ。普通の人が中産階級に属せることが日本経済と社会がうまくまわっていく必要不可欠な要素だとあらためて実感をした11月の市況であった。未だ足元の失業率アップと非正社員化で実質所得が増えないので買えない状況なので、いくらおせちの受注が早く、11月中だけで3割以上の受注率だといっても、12月の花の消費は楽観できない。とにかく団塊ジュニア世代とダブルインカムの新興中産階層をターゲットに、昨年に比べて一工夫も二工夫も消費者に付加価値を加えて販売できるようにしなければ「きずな消費」は堅調でも昨年を上回ることは難しい。売上増を狙いたい。それが出来れば12月市況はこじっかりで、売上は前年比プラス、できなければ5~10%のマイナスとなろう。楽しくステキなお歳暮、クリスマス、お正月の商品を作って行きたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年8月22日

競争力を増す輸入花

今朝の荷姿を見ていると一足早く輸入品は充実して来ている。しかし国内生産者は盆休みで、国産の花は出荷量が少ない。毎年33・34週は花の専門店が夏休みを取るところが多く、金曜日まで花の需要は少なくなるが、今年は円高だから輸入商社の人たちはがんばって出荷をしてくれている。
アメリカ経済が思わしくなくEUは金融不安、そこで今までにない円高となっているが、生鮮食料品花きの景気実感は「デフレが止まらない」である。切花の場合その理由ははっきりしており、切花相場を決める一輪菊が前年に比べ1割安い。その物価水準であらゆる花が推しはかられるから、小売店まで含め花き業界の総売上は9掛けに近くなる。もちろん新品種を投入したり、新しいサービスを付加したりして、価格維持に努めているが、8月期9月期は昨年の9掛けというのが今のところの予想である。
日本の企業はバランスシート不況を経て、手持ち資金はある。こうなると円高を利用して海外に出ていく。あるいは海外の会社をM&Aする。こういった戦略を実行するタイミングとなっている。日本はものつくりについては世界で一番こだわる国だから、上級レベルのものは日本で今後とも作っていこうとする。しかし普及品レベルのものはますます海外に工場を移し、ものによっては逆輸入をしていく。ほとんどすべての分野で国内消費は頭打ちとなっているから、国をあげて海外に出て行く動きが今強まっている。
花は日本人が出て行って、日本に輸入されているものは私の知る限り5つくらいとほとんど無いに等しいが、輸入商社が現地の生産会社と組んで日本向けに毎年毎年質を向上させている取組は多い。円高を梃子に、更に輸入量は増えていくものと思われるが、日本の花き業界に通用する品質を作れる農場はそんなにない。というよりほとんど限られている。だから無尽蔵に入ってくるなんてことは考えられない。またその生産会社はしっかり日本の専門商社とタッグを組んでいる。しかもそういった生産会社は10ヘクタールの規模ではなくて、グローバル競争の単位である30ヘクタールの農場である。そういう会社とタッグを組むというとなまじの規模の受け皿では如何ともしがたい。日本では一社でそんなに同じものをたくさん取り扱えるはずがないから、輸入商社がバルクで持ってきてリパックして荷姿をととのえ、各卸売市場に出荷するということが流通上必要になる。野菜を作っていた人が花を作るようになって、また野菜に戻ってしまった今日。しかもデフレが続いている今年、輸入商社の動向に注目が集まっている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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