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2006年4月10日

独立店舗、頑張って!

独立店舗、頑張って!

花の小売店の新しい動きについて以前このページで、隣り合わせた私鉄の3つの駅で、花店が同じ店名で店構えもほぼ同じようにしてチェーン店のように販売しようとするプロジェクトが進んでいることを報告したが、正式に断念せざるを得なくなったので連絡したい。
その理由は後継者ありが1店舗、後継者なしが2店舗であって、今後とも続けるかどうかというところで意見の食い違いが合ったため断念することになった。「私たちが今何をなすべきか」は「将来どうなっていたいか」。そこから考えて今なすべきことを決めるという方法がある。格差の時代であると言われるが、花店にしても花の卸売市場にしても「将来どうなっていたいか」その夢が今の努力を決めていく。
『30年先はどうなるか分からないが2030年の夢はある。でもそれまで俺たちは健康に生きているだろうか。』と2件の花店のご夫婦は考えたわけだ。『そう言ったってワンジェネレーション?30年の半分、2015年までだったらあと10年だからお二人とも65歳前後でしょう。まずそこへ向かって努力したら?』と説得したが、『息子もやらないのに店舗を改装したり、いろいろと投資をするのは嫌だ』ということで3年間も話し合いを続けてきてもう一歩というところで破談になってしまった。誠に残念である。
破談になったもう一つの理由は、この3軒ともいずれも広い意味での団塊の世代で、ここのリタイヤ問題が世間で話題になっているために、なんとなくサラリーマンのように第2の人生を考えているということだ。だったら第2の人生のつもりで花店の改革をすればいいのに何か違ったことをしたいらしい。
とある地域の店主に相談を持ちかけられた、『後継者がいない仲間が、店をやってくれというのですけれどもどうすればいいのでしょうか?』と。また直接大田花きの顧客サポートチームに『自分はもう○○歳。あと○年以内に店を譲りたいからその相手先を探してくれないか?』と。読者の皆様方は小生が花店の2世3世を集めて、塾を開いていることをご存知だと思いますが、そのナルシス会のメンバーは支店をいくつか出している。それは彼らの父親の友人の花店から『店をやってくれないか?』という相談を受け、有利な条件で引き継いだものだ。
花の専門店は廃業率が5%未満と他の商売から比べてみれば、小料理屋と同じように独立店でも十分に採算ベースのせることができる業種だ。卸売市場流通という商材を選んで店づくりできる仕入れ形態だから、今後とも十二分にやっていけると思うのだが、どうもここにきて団塊の世代のリタイヤ論とともに少し様子が変化しそうだ。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年4月 3日

デザイン力

昨日の午前中、新橋にある東京美術クラブへ「東美アートフェアspring」を見に行った。好きな作家の絵や香炉などを堪能したが、景気が上向きのせいもあり、例年になく力の入った展示会であった。
目の保養だけのものや、車を買うのだったらこれをという購買意欲をそそられる秀作がいくつかあり、なじみの美術商と相談をしたりした。特に島田文雄の香炉は、大田花きの商品開発室でちょうど香り分析や香りを花の付加価値として販売するプロジェクトをやっているため、私とその作品との間に壁がなく、愛情を持って見ることができた。
新橋の美術クラブには友人の古美術商の家が三軒先にかつてあったことから、建て替えてからも何度か行ったが、長い不況のため秀作も思った値段が通らなかったので、美術組合としてもようやく春が来たというところであろう。
さて、そのあと並木通りを通って日本橋へ行ったが、美術品を見る目で商品を見ているものだから、あるいは人の所作を見て値踏みをしているため、買い物をしていてもなかなか買う気にならない。そこへ行くと桜もそうだが、花店の春の花はのびのびしていて本当に買う価値がある。
日本橋界隈で買い物をしていても、どうしても美術クラブの影響でデザインに目が行く。機能も含め、このデザイン力が商品力だ。ついに日本橋をあきらめ、いつも買い物している新宿の伊勢丹に行ったが、ここの品揃えは昨日の私の価値観によく合っていた。
ファッションは生活デザインであり、そのデザインゆえに買う者の心を強く打つ。一流ブランドの物はデザインに優れ、プラス機能的であるから、普段はブランドをきちんと見ようとしない私も、昨日ばかりはそれぞれのブランドのデザイン力と自分の生き方のデザインを重ね合わせて買い物をした。新宿にも高島屋と伊勢丹に花店が入っているが、それぞれデザインを意識した取り組みがなされている。そして他の物財と比べると、さらに花もデザイン力を高めていくことが必要である。デザイン性の観点からいくと、テーブルセッティングやインテリアデザイナー、家具デザイナー、居住空間デザイナーの方が、現在のところ我々花のプロよりも勝っていると言わざるを得ない。デザインの視点でもう一度切花の作品や鉢物を見直す必要がある。特に、鉢物にはデザイン力は生命線となっている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年3月27日

今年の彼岸は団塊の世代のお陰

今年の人事異動も大変多いようで、東京のオフィス街の花屋さんは今週、1年で最も忙しい日を迎える。レストランや飲み屋さんも大変なことだろう。

さて、狭義の団塊の世代は1947年から49年の3ヵ年に生まれた人たちで、日本の人口の6%あまりを占めるが、広義で1951年生まれまで入れると10%になる。2007年問題とは、団塊の世代のリタイアが始まり、技術力を持った人がリタイアするので、この技術力をどのように社内に伝承していくかという点と、大勢定年退職していくため、その後の労働力確保をどうするのかという2点が問題とされ、対策が練られている。
今年の彼岸はどこの花屋さんもよかったと聞く。今年の彼岸は定年を前にした団塊の世代が日本中で墓参りに行った。卒業式などの需要は店により偏ったが、お彼岸の仏花需要はどのお花屋さんも良かった。それはやはりお客さんの数の問題だ。団塊の世代の人たちが花のお客様としてこれまで以上に、今回の彼岸や盆のように花を使ってもらえるよう我々は努力する必要がある。

先週、日本フラワーデザイナー協会主催の日本フラワーデザイン大賞を東京フォーラムに見に行き、昨日は日本家庭園芸普及協会主催の日本フラワー&ガーデンショウを幕張メッセに見に行った。いずれも展示技術は素晴らしく、年々レベルが高くなっており、教えられることが多い展示会であった。団塊の世代が夫婦連れで多く来ていた。それにしても両展示会ともかなりの人手で、花のイベントの集客力を見せつけられる思いであった。

投稿者 磯村信夫 : 11:48

2006年2月27日

中間流通業者の課題

先週全農は青果の卸売会社を集めて来年度の方針である直販の比率アップについて、あまり心配せず、また協力をして欲しいという旨を伝えるべく、説明会を行った。
 同じ農林水産省の中で2つの流れがある。食品流通改善促進法の流れに沿った自由な流通と、中央卸売市場法に則った幹線交通網のような流通網である。これを併用しているのが現在の日本の生鮮食料品花き業界の姿だが、日本の産地は直接量販店や加工業者に販売してマーケットのニーズを肌で感ずるべきだとして、米から始まり、あらゆる農産物でアメリカのファーマーズマーケットのような形態や道の駅、農協や全農の直売場での販売などを奨励し始めた。これで地方の卸売市場との競争関係は高まるかもしれない。こんなとき是非とも地元の卸売市場を使って欲しい。「地産地消」とは業者全員で地元消費者にサービスすることだ。

 さて、花はアイテム数が多すぎるので生販同盟による合理化メリットが出せないでいる。ドイツでもここ15年で2つのセリ市場が開設されたり、州によっては流通センターが新たに作られたりしていることで分かる通り、卸か問屋か流通センターか、事情によってニーズは異なってくるが、いずれにせよ中間流通を一つかませておいたほうが合理的だ。それはコンビニを見たらよく分かるだろう。コンビニやドラッグストアは問屋を使うことによってしかきめ細かく鮮度の良い売り場を作っていくことはできないとされている。花市場はこれと同じ機能を果たしている。生配販同盟だ。アイテム数が多く、ロットも小さい、また傷みやすい。そうなると中間流通の機能に磨きをかけるためにはサプライチェーンの各所においてITによる合理化投資が欠かせない。もちろん鮮度保持等に関するロジスティクスの投資も必要であろう。中間流通業者はそれらの投資に絶えるだけの財務体質を作っておかなければならない。
 地味だが怖い現実、この財務体質の強化が中間流通の機能が発揮できるかどうか、すなわち存続が許されるかの鍵を握っているのである。心して財務の健全化に努めていきたい。

投稿者 磯村信夫 : 13:22

2006年2月13日

第55回関東東海花の展覧会

 2月5日(日)ドイツのエッセンで開催されたIPM2006国際園芸専門見本市を見学した。「より自然に」と“Upside down”が今年のデザイン傾向のテーマで、IPMは他の国際展示会に比べ、フラワーデザインや関連資材の今年の傾向を知る上でまたとないチャンスである。真冬の展示会だから、北欧を含め、ヨーロッパアルプス周辺の国々では寒さが厳しいので、造花の比率が高くなる。従って寒さに強い植木や造花などが多い展示が特徴となっている。
ドイツは失業率10%以上で、経済復興の目途がなかなか立ちにくい。そのように経済的に喘ぐ中での展示会となった。花の専門店やデザイナーのところまで株高の影響が回らず、やや苦しんでいる感じもしないではないが、そんなときにこそ花の魅力をと積極的に提案していた。フラワーデザイナーたちのブースで面白いと目に付いたのはカーネーションで、種苗会社の展示では殆ど使われていなかった一方、デザイナーの展示には結構使われていたということだ。ドイツとアメリカ、日本とでフラワーデザインの教材・花材としてカーネーションが使われているということは、次の世代にも繋がると嬉しく思った。

さて、2月11日(土)には池袋のサンシャインシティで開催されていた第55回関東東海花の展覧会を見に行った。今年の主催は茨城県が当番で、素晴らしい生産者の出品物とフラワーデザインの数々が展示されていた。
今年の展示物を「恐る恐る見に行った」と言うのが私の正直な心情だった。天候不順、原油高、12月の市況の悪さなど、生産者は混沌とでも言っていいくらいやる気をそがれ、将来の見通しが立たずにいる人も決して少なくないと聞いていたからだ。
しかし、実際に行って目を見張るばかりの品質に感激するとともに、何か希望のようなものを感じた。日本の花き業界は捨てたものではない。今後も益々発展する。「人は希望と共に若く、勇気とともに輝く。」誰が言ったか忘れたが、このフレーズが自然と出てきた。関東東海花の展覧会ももう55回。それほど回を重ね、その品質の素晴らしさ、まさに本物はこれだという物を広く一般の消費者に見てもらいたい。少なくともプロの花き関係者には見てもらいたいと思った。IPMより数段素晴らしい品々を見て、足も軽やかに帰路に着いた。

投稿者 磯村信夫 : 17:00

2006年2月 6日

産地との話題は「手数料自由化」

産地に出張したり、産地の方が市場見学されたりする際、2009年卸売市場の委託品販売手数料自由化の話が出るようになってきた。農協や県・経済連の方針――方針というが、現時点ではその人の個人的な考えといっていいだろうが――によってあまりにも色々な意見があるので、一つの形で通せるものかどうか甚だ疑問である。カナダやオランダ、ドイツでセリをしているところは、12月に翌年の様々な課金料金表を発表する。もちろん、事前に生産者団体や卸・小売り団体と交渉した上で締結したものだ。1年ごとに変わらないものとしては台車使用料やバケツ使用料、分荷手数料、家賃、その他各種サービス料がある。年ごとに違うのが委託品のセリ販売手数料、表示と中身との相違や品質のクレームに対するペナルティの罰則・罰金、買参権の値段などである。もちろん買い手に対しては金額ベースで大口と小口は違うし、また品種ごとのロットのまとまりによっても徴収される金額は違う。
オランダの場合には一つ一つのアクティビティに基づくコストを計算し、3つの大きな収入の柱で卸売市場を運営しようとしている。一つは販売手数料で売り手と買い手の両方から頂く。ひとつは分荷サービスなどの各種サービスからの収入、そしてもう一つは事務所を貸したりする不動産からの収入である。
輸入品は水揚げしてバケツにつけるために1本ごとに料金を頂く場合と、売価のパーセンテージで頂く場合とがあるが、今では殆ど1本いくらで卸売会社に支払っている。結局、海外産地は10%以上市場に支払うことになっている。日本人の関係者はよくオランダや海外の市場に行って販売手数料が5%以下と知ると、そんなに安いのかと驚き、日本に戻ってくると9.5%や10%は高いですねということがあるが、それは認識不足というものだ。市場の台車やバケツを使って賃料を取られているとは思わないだろう。しかし、それらは自分の物ではないのだから付帯サービス料を取られるのは当然で、日本もそのような条件で手数料を決めるべきか迷ってしまう。韓国では卸はセリをするだけで場内物流は別の業者、産地は卸と場内物流業者に5%ずつ、合計で約10%払う。或いは、台湾のように売り手と買い手の両方から手数料をいただくというのもある。
これからの2年で今までの慣習を見直し、より合理的で常識的な料金体系にしていくべく、議論を積み重ねなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 06:47

2006年1月30日

第1回目の過渡期

松の内までに読みたいと思って用意しておいた本をようやくこの月末になって読み終えた。50歳も半ばを過ぎると著者の気持ちがわかるようになって、読み飛ばすことがなかなか出来ない。また、自分のリズムもゆったりとしてきて、それに合わせて読まないともったいないと感ずるから、どうしても遅くなる。
特にこの正月に熟読したのは、ネルソン・マンデラ氏の『自由への長い道』と白川静氏の『孔子伝』であった。鉄人とはこのような人であるのかと畏敬の念を抱きながらも太陽を感じながら拝読した。

ほぼそれらの本だけを抱えて出かけた出張先では、重油の高騰、寒波、単価安、後継者不足などを実感した。また、荷を運ぶ運送会社からは荷が少なくなっているのに、運賃も上げられないし、軽油代も上がって経営が大変苦しい運送店の実態を知った。地方の卸売市場では鉢物だけではなく、切花も集荷のトラックを出さなければならず、取り扱いが増えていないために運賃を相殺できず、経営を圧迫していることを知った。小売店は世界で最も激しい過当競争を余儀なくされているから、この苦しみも尋常ではない。このように花き業界では過渡期になっている。
促すべき施策は、まず地産地消。地元産品は地元の卸売市場が扱い、地元の小売店が消費者に販売する。これが各自の手取りが多く、今後とも一義に考えるべきことである。2つ目は地元の卸は国産のブランド産地を集荷販売すること。3つ目はできればこれに加え、世界の花を集荷販売することだ。この3つを揃え、地域の消費者に選んで満足してもらう。季節的に偏りはあろうが、地域の卸売市場と小売店はこのような花を消費者に届ける役割を果たさなければならない。こうすることによって今ある殆どの業者は生きていくことが可能になる。もちろん2008年には新たな手数料率の契約を結び、2009年の手数料自由化に備えなければならない。そしてこの2ヵ年で市場協会で手数料自由化対策を十二分に練って具体的ないくつかのあるべき姿を提言していく。それを参考に各社考えていってもらえればと思う。
現在、大変厳しい寒さが続いているが、果敢にリストラをして第1回目の過渡期を凌いでいきたい。

投稿者 磯村信夫 : 16:03

2006年1月23日

『年商3500万円』

 21日の土曜日、東京は雪が降って、一都六県の小売需要は鈍い。今年は本当に寒い日が続くので、小売需要は日本列島冷え込んでいる。しかしヨーロッパは今年は暖冬気味で、読者の皆さん方も冬物衣料が売れ残ったパリの1月大バーゲンに、日本人が大挙して押しかけ、コートなどを買っていたとのニュースをお聞きになった人も多いでしょう。ロシアは寒いものの、ポーランドぐらいまでそんなに寒くなく、オランダで最低温度が3℃以上の日がずっと続いているので、小売需要が活発で、ヨーロッパは総じて去年よりも相場が一割ほど高い水準で推移している。
2月のヨーロッパは、パリでメゾンオブジェがあり、ドイツのエッセンでIPMがある。11月のアムステルダムの花き園芸フェアと、この2月の冬のフェアは、花き産業がどういう方向に向かっていくのかを見る大切な展示会だ。これにチェルシーフラワーショー、日本のギフトショー、アメリカのスーパーマーケットショー、そして日本のIFEXを見ておけば、おおよそ世界の花き業界がどのように動いていくか、両3年の見通しはつく。
 世界の花き業界では、日本とオランダを除き、前向きな投資を行っている。特に東アジア、東南アジア、中央アフリカ、南米で花き生産業への参入が盛んだ。これは将来産地が移動することを意味する。荒っぽい数字だが、オランダの花市場協会で2005年の輸入花比率は30%であったという。日本が20%を下回る水準だから、日本より10%オランダは多い。そうなると、この冬場など半分以上が諸外国のもので、よほど高付加価値のものを作っていかないと、製造原価の高いオランダでは既に生産が難しくなっている。
日本の問題点は、オランダの生産者より、産地から消費地まで運ぶ運賃コストが余分にかかる点だ。もう一度各生産地は、トータルのコストの見直しと、品目品種の見直しをしていく必要がある。また買い手である買参人は、小売業は立地産業だから、自分の立地を再度チェックし、ネット販売などの比率も考え、年商で3,500万円以上の店作りをしなければならない。個店で平均日販10万円で年商3,500万円が、そこで働くもののお子さんを大学に行かせることができるかどうかの目安で、何も大学に行かなくてもいいが、しかし行きたいと言った時にお金がないというのはこれは問題で、花き業界の人材の質に懸念が残る。生産地、小売店ともこの3,500万円が、世界で購買平価から見た独立店舗の花店や生産者の売上目安である。日本は、そこを一つの目安として、自分の事業の再構築を行ってゆきたい。

投稿者 磯村信夫 : 17:41

2006年1月16日

どんな業種もどこにいても国際競争

今朝の入荷を見ていたら、絶対量が不足しているスカシユリ類で、南米のチリから輸入されたものがあった。今までは南米と言えばせいぜいコロンビア、エクアドル、コスタリカだったのに、日本のまるっきり反対側からも花が出荷されている。日本の専門商社の皆さん方が、世界中の良いものを探してきて、日本のマーケットに供給してくれている様子が本当によくわかる。
 部屋を暖房しているので、真冬には切花でもオオニソガラムのように、花保ちの良いものが珍重される。もちすぎて困るのだが、このオオニソガラムも殆どは南アフリカ産だ。
 土日に茨城県常陸野カーネーション組合の新年会があり、その勉強会で議論したが、常陸野の組合員の人達は「カーネーションはもう既にコロンビア、中国を中心とした輸入品と国産は棲み分けた。今までとってきた方針を推し進め、納期そして情報発信力などをより強めていく。」としている。同席した仲卸の課長さんは、「ご年配の買参人はカーネーションが昔に比べて使われなくなった経過をよく知っているので、今更カーネーションを、という人が多いですのが、若い人の中にはむしろカーネーションを新鮮に感じている人も出てきました。」とおっしゃっている。ガーベラの方が一般的なこの若い人達の世代において、カーネーションをもう一度見直しているのも事実である。
 切花、鉢物ともどの品目もそうだが、グローバリゼーションとポスト産業資本主義下の日本では、質を追求する以外に我々が生き残る道はない。貧しい家の子供が教育によって、末は大臣になれる可能性を人は持つ。この教育とは、我々にとっては勉強や研究、モノを考え出してそして実行することである。新しいものというのはそんなに簡単に生み出すことができるとは思わないが、花き業界でもそれに向けて改善ややり方の見直しをしていく必要がある。何せ種苗、生産、中間流通、小売の全ての花の分野においても消費者や取引先の目はより厳しくなっていて、今までの質や作業サービスではしてもらって当たり前になってしまっている。人やモノが集まるのは当たり前を当たり前に行う会社や人だが、これはゼロのレベルであり、それプラスアルファで初めてプラスに転じる。高く買ってもらわなければ、生活が成り立たない日本の価格まで含めると、日本で仕事するというのはそう簡単なことではなさそうだ。こういうことがどの業界でも分かってきた。質的レベルは日本リーグだが、価格だけは世界リーグの覇者であってよい筈はない。しかめっ面しても仕方ないから、はつらつとニコニコしながら苦しいことを行っている。だから当然日本の花き業界も当たり前に、且つ前向きに仕事に取り組んでいこう。

投稿者 磯村信夫 : 11:13

2006年1月 5日

企画提案力が決め手--花き業界の利益の源泉

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

昨年の止市と今年の初市挨拶で小生は買参人に訴えた。国内生産が減少していることが花き業界の誰にも解った。大田市場でも、11月12月と切花鉢物とも前年を下回っており、農林水産省の統計では出ていないが、市場協会の統計から類推すると、2002年を境に国内生産は減り始めているようだ。国内生産を再度活発化するためには、我々卸売会社も「提案する産地」になってもらうように一緒になって努力していく必要がある。だから花き業界のアンカーとして消費者に日々接している小売店の方からアドバイスやアイディアを頂きたいと訴えた。

 国内生産が減少した最大の理由は、企画力に富が移るようになったためだ。卸も仲卸も小売店も昨年と同じ提案企画をしていたのでは、売上は横這いどころか下がってしまう。だから花き業界の人は種苗会社を見習い提案力や開発力に磨きをかけよう。卸は、産地と一緒になって買い手に新しい提案をすることに国内生産が活況になっていくポイントがある。卸の持ち味は先見性と思いきりにあるからだ。生産地はもはや品種の更新だけでは不十分だ。私たち花き業界人は物販50、作業サービス50でお取引先に喜んでもらい生存しているのだから。

投稿者 磯村信夫 : 16:41

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