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2009年8月14日

Vol.74 遠野市花卉研究会&JAいわて花巻(遠野地域)

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「遠野郷は今の陸中上閉伊(かみへい)部の西の半分、山々にて取り囲まれたる平地なり。
(中略)この地へ行くには花巻の停車場にて汽車を降り、北上川を渡り、その川の支流猿が石川の渓を伝ひて、東の方へ入ること十三里、遠野の町へ至る。」
(『遠野物語』柳田國男)

宮沢賢治ゆかりの地花巻(新幹線新花巻駅)で乗り換え、釜石線に揺られること約50分、降り立ったのは河童伝説の地「遠野」。
ここへ行くには東京から一路550km、車なら7?8時間、電車でも4時間かかる。都会の喧噪から逃れた別天地。

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遠野駅の周りは河童だらけ!
行政を挙げて河童で地域活性を図ろうという意気込みが見てとれます。

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↑ポストの上に乗っちゃったかと思ったら、ついにはなんと交番まで丸ごと河童になってしまった!

ここにウン探がきたのは伝説の河童の実地検証のため・・・ではなく、うだるような暑さの日本の夏に、驚くほど花保ちの良いトルコギキョウを出荷する産地の秘密を探るため。

遠野の栽培農家さんたちの標高は遠野駅周辺の230mから高い所で450mまで。
暑い東京を逃れ、ここは何とも風が気持ちいいぃぃぃ?♪
なんとシロツメクサが咲いているではありませんか。東京では4月か5月に見かけますが、こちらでは今頃咲くなんて・・・。

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ところが聞いてみると冬以外は年中咲いているのだとか^_^; あは、恐れ入りました。
そのほかにコスモスやらヒマワリやら、グラジオラスに豆の花、これらの花が同時期に咲いているとは!ありえぬぁ?い!それだけ植物の生育環境に適ったところなのですね。

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この標高に加え、他産地にはまねできないいくつかの条件があります。

それでは遠野のウンチクを見てみましょう。


訪問したのは遠野市花卉研究会とJAいわて花巻(遠野地域)の生産者のみなさん。(以下、両者を略して「遠野」と表記させていただくことがあります。)
花卉研究会は13人の個人生産者で構成された出荷グループです。

遠野の強みは、暑すぎて他産地がトルコの生産に適していない真夏期に、冷涼な気候を生かして、良質のものをじゃんじゃん出荷できること。冷涼な気候が自慢な遠野にとって、熱帯化している日本の真夏の花きマーケットは、まさにその優位性を生かし視界良好なマーケットなのです!

遠野はトルコギキョウの「花保ちの良さ」と「発色の良さ」、またそれらの品質に対して「シーズンを通してぶれるこののない安定感」を武器にして、その真夏の花きマーケットに臨みます。

image40.gif遠野の花保ち

遠野でもコサージュを栽培しています。
コサージュ仕立ての場合、花保ちのコツは圃場で満開に近い状態まで花を開かせてから採花すること。
十分に吸い上げた栄養を花に蓄えて開花しているものは、多少のストレスにも負けずに最後まで咲くわけです。
ツボミが小さいうちに3?4輪に整理すると、残った花が巨大輪に成長、その残った花に栄養を集中させ、いつまでも元気でいられるようにするのです。
夏場でも花保ちの良い花を作るためには、花に栄養を蓄えさせて、十分に開花してから採花することがポイントだったのですね。
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“そろそろ採花した方がよろしいのでは・・・?”と心配してしまうほど展開した花がたくさん。

あまりにも良く開いているので、ふと計ってみたこの花でなんと直径12cm!!(゚〇゚;)マ、マジ・・・?
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しかも遠野12cmのなにがすごいかって、この12cmクラスがごろごろしていて、品質的にブレがない!というところなんです。

「この状態で切って花瓶に挿しておくと、一番小さいツボミから駄目になっていくんだよ。その次が少し柔らかいツボミ。一番展開している花は最後まで残るんだ。」

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説明して下さったのは、遠野市花卉研究会会長の菊池正明さん。

一方、コサージュ以外のトルコの場合、古い花から枯れていくため、選別の段階で最も古い花は切り落とします。こうすることによって、古い花に栄養を取られることなく長持ちするのです。

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原則的には「一枝一輪」。
一本の枝に一輪が付き、その上に蕾がある状態で、トルコギキョウ一本から三輪付く状態を基本としています。


遠野は毎年大田市場の花卉棟の中央通路で真夏に展示を行うのですが、本年も8月10日から14日までは大田市場花き部の中央通路で遠野の展示を行いました。
http://www.otakaki.co.jp/showcase/2009/20090810.html

皆さん、ご存知ですか.。この中央通路、エアコンが効いていないので、今の時期は日中気温が40度近くになることすらあるのです!
毎年この時期で1週間、平気な顔をして咲き続ける遠野のトルコはまさに驚異的!
普通のご自宅であれば、その何倍も花保ちすることでしょう。

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んもう、遠野のトルコはこのぷりぷり感がたまりません!^?^!(←オヤジ目線か?)


image483.gif遠野の色

遠野はその気候から夜温がストンッ!と下がります。
もちろん、窓を開けて寝たら、一晩でばっちり風邪をひくくらい。夜は16?17℃まで下がるのですから、おへそを出しては寝られません!image36.gif

昼と夜の気温差が十分にあるからこそ、花の色のりがGOOD(〃^▽^〃)♪なのです。
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それはなぜでしょうか。

栄養状態が良くなるからです。( ^ー゜)b
人間も暑い所にいると、じっとしているだけで体力を奪われますね。トルコギキョウも一緒で、昼も夜も暑いと体力の消耗が激しく、栄養が流れ出てしまうのです。発色にはエネルギーを使います。このエネルギーを十分蓄えておく必要があるのです。ですから、夜は気温を低くして、植物体がお休みする必要があるのです。

発色を良くするためには?紫外線、?温度差が必要です。
昼間紫外線を浴びてばっちり色をのせ、夜はその栄養が葉から花へ転流するよう気温を下げるといいのです。もちろん寒すぎてもNG!暑すぎず、寒すぎず、遠野の気候は真夏のトルコ栽培に最適なのです。

なるほど?(゚ー゚)(。_。)ウンウン
夏野菜も気温差があった方が甘みを増しておいしくなるといいますね。こういうことだったのですね。

だからトマトもおいしい!

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JAの犬亦順七(いぬまた じゅんしち)さんは、トルコを作る傍ら、自家用にトマトを作っていらっしゃいます。
朝トルコを採花して、のどが渇くとトマトを採って召し上がるのだとか。

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これも遠野の夏場の冷涼な気候を生かした栽培ならではですね。

「その代わり、冬は寒いよ?。寝ていて布団が凍るくらいだからね。」
w( ̄△ ̄;)wッ!布団が凍るほど寒いって・・・
遠野は早池峰山、六角牛山、大開山、五葉山などの山々に囲まれた盆地なのです。


image40.gif岩手特有の気候“やませ” 気候を生かした栽培

やませ・・・出た!中学校の社会で学びました、これ!本当に吹くのですね。(←当たり前だ)
うーん、中学校のノートに図を描いたような気がしますが、やませ(山背)とはオホーツク海気団の影響で、親潮(寒流)で冷やされた太平洋上の寒気が内陸部の低地に吹き下ろす冷風のことです。
内陸部の湿った上昇気流を冷やし、霧や小雨をも発生させ、その結果、日照不足と低温によりしばしば冷害をもたらします。
同じ岩手県でも、野菜農家さんにとってはこのやませが災いするのですが、トルコギキョウの場合はこの現象があまりひどくない限りは、品質向上のための恵みの風なのです。

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そのやませがおむすび型のこの山を越えてきたり、越えなかったり・・・この山がうまい具合に調整してくれているのですね。さすが八百万の神はこの山に宿っていたのか。

image483.gif遠野の地域性を生かした栽培

遠野といえ馬と河童。『遠野物語』にも、馬と河童にまつわるストーリーがたくさん出てきます。

「昔この淵の近くの大家の人が、馬を冷やしにそこへ行って、馬ばかり置いてちょっと家に帰っているうちに、淵の河童が馬を引き込もうとして、自分の腰に手綱を結え付けて引っ張った。・・・」(『遠野物語拾遺』第178話)


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遠野では競技用の馬をたくさん飼育しています。オリンピックの時などに、障害物を華麗に飛び越えるあの馬です。

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トルコギキョウは「産地が移り変わる品目」と言われるほど連絡障害が出やすい品目です。
毎年同じ土地で栽培しているとどうしても連作障害が出てしまうのです。

土地を替えない以上は、“こうやれば絶対大丈夫”という正解はありません。そんな中、遠野では連作を未然に防ぐため、土づくりに力を入れています。
毎年何十トンもの水でハウスの土を洗い流し、また地場の馬の堆肥をたくさん入れ、翌年も変わらぬ品質でお花屋さんに安心して遠野のトルコを買ってもらえるよう取り組み余念がありません。

遠野の産地ブランドがあるのも、地場のものを少しでも無駄がないよう農業に生かしていることが大きくといえるでしょう。

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ちなみに、この白い大きな物体、何だと思いますか?


実は、馬の餌なんです。牧草をぐるぐるに巻いて保存食にするそうです。
「まあ、人間でいう漬物のようなものだね」とJAの北湯口大(きたゆぐち ひろし)さんが教えてくれました。

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畜産が盛んな地域ならではの光景のようです。


image40.gif苗づくり

遠野の人たちは実生(みしょう)から始め、自分たちで苗を作ります。それは冬場寒すぎて、できる作業が少ないからです。
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遠野の冬は何度くらいになるのですか?
「マイナス20度くらいになることもあるね。昔はしょっちゅうだったけど、近年は温暖化で年に1?2回だけどね。」
とおっしゃったのは、遠野市花卉研究会の前会長の駒込和男さん。

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マ、マイナス20度・・・ってどんな世界なのでしょう。体験したことがありませんが・・・^_^;
「思いっきり鼻を吸うと、鼻の穴がくっついて戻らないね。肌も痛いし、眉毛が凍るよ。」
どえ?!!Σ(゚д゚;)
寒さ嫌いの私には、そんな寒さは耐えられません!

image483.gifトルコギキョウ栽培のきっかけ

そもそもは遠野でトルコギキョウの栽培を始めたきっかけは、普及員さんから勧められたからだそうです。
出荷してみると、他産地が2番花の時期に遠野では1番花を採れるから、品質的にも1番花だから他産地の上を行く!そこでお客様の好評を得て、生産規模を拡大していったというわけです。

本来は遠野は野菜、畜産、タバコ、ホップなどの大産地です。

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(↑岩手では牛のことを「ベゴ」といいます。突然走りだすベゴたち!)
 

タバコと並ぶ大品目がビールのホップ。某大手ビール会社の中でホップの生産量シェア1位を誇るそうです。

↓ホップの圃場。初めて見ました!!このように高いところから吊るすものなのですね。
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こちらがホップの花。黄色いのがホップの花粉です。何ともシトラス系の良い香りがします。
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苦いシトラスといった感じで、イメージ的には柚子に似た香りです。ビールの苦みもこのホップの香りに由来します。


image40.gif遠野の取り組み ?その?:2日前販売と輸送?

JAいわて花巻(遠野地域)では2日前販売を完璧にしようと情報販売に力を入れています。
そのためには、一刻も早く確実な出荷情報を作らなければなりません。
そのための取り組みは「早目に採花して情報を確定する」ということ。


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「採花日と予冷庫での一時保存、運送スタイルについては、大田花きと協力して何度も試験した結果、大丈夫とわかったんだよ。D2販売メインでいこうというのも、試行錯誤した結果なんだよね。」と北湯口さん。

さすがに遠野の産地でも標高の低い方では、夏期には熱帯夜になることもあり、生産者によっては出荷前の水上げ作業を暑いところでやらなくてはならないことがあります。しかしこれはせっかく圃場できれいに咲いたトルコギキョウの品質維持の点で良くありません。

そのようなときはJAの予冷庫をを使って水上げを行います。
こうすれば品質も保て、出荷情報も早く確定し、販売力の向上にも繋がるというわけです!
う?ん、まさに一石二鳥!!^?^!


「運送店さんとも特別に契約して、ドライバーさんにはコールドチェーンのための協力をしてもらっているんだ。
中継地点の仙台で2℃、また福島で2℃輸送庫の温度を上げてもらうんだよ。ちょっとしたことなんだけど、暑い東京に着いたときには大きな差が出るからね。ヒートショックを起こさないように、これは必ず必要な作業なんだ。」


“品質の産地”と言われる裏には、栽培過程のみならず輸送に関してもこのような繊細な配慮がされていたんですね。

また、遠野では秋になると寒さと日照不足で夏場と同じようには出荷できなくなります。1年1作という逆境を逆手にとって、7月から9月に短期集中して良いものを作ろうという意気込みで団結しています。

「何といっても一番の特徴は市場と一緒に開発してきたことだね。切り前や立て箱の研究、お花屋さん巡りなど大田花きや仲卸とともに勉強してきたからね。
勉強会は何でも会費制。たとえ1,000円でも身銭を切らないと身にならない。ただの飲み会になっちゃうよ(笑)。」

とおっしゃるのは研究会の菊池さん。

向上心旺盛な遠野は、なんと日本で先駆け的にトルコギキョウの湿式輸送を始めた産地でもあるのです。
それも今からさかのぼること10年前・・・あれは1999年の夏thesun.jpg

イチゴのプラスチックの箱のようなものに、厚さ1cmのスポンジを入れて、水を浸し縦箱で出荷したのが始まりでした。
「ヨーロッパの市場を見て回ったりしているうちに、縦箱がいいのじゃないかと思ってね。お店での水あげの手間が省けるでしょ。だから、お花屋さんにとってはコストも手間も省けて、すぐ使えるからいい方法だと思ったんだよ。もちろん市場が受け入れなければ意味がないから、大田花きと共同で開発したんだ。」と菊池さん。
2005年には、大田花きの自動分荷機に対応できるよう、横にしても水がこぼれないソフトバケットにフルモデルチェンジ!しました。しかしその間にも組み立て式の箱を試してみたりと、さまざまな試行錯誤がありました。
ここに遠野の進化を見てとることができます。

“ここに良いお花屋さんがある”と聞けば、遠野から東京だろうが静岡だろうがどこにでもすっ飛んで行く。その意気込みと熱意には頭が下がります。

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「夏場の優位性がいつまでも続くとは限らない。」
現会長の菊池さんの顔が引き締まります。
そのような危機感と認識のもと、遠野は常に勉強を続け、花のマーケット調査には余念なく常にアンテナを張ります。

「(私にとっては)トルコギキョウは通信簿みたいなものだね。良ければ褒められるし、悪ければ怒られるし、その分評価も下がるし、・・・夏休みだし」と菊池さんは言います。
トルコの栽培は全て自分に降りかかる、自分の評価そのものであるという認識でいらっしゃいます。


image40.gif遠野の取り組み ?その?:PR?

河童で町興しをしている遠野では、トルコでも産地ブランドを確立するために河童で遠野を想起させるというイメージ戦略をとっています。
毎年夏期になると中央通路での展示だけでなく、河童を連れてセリ前に買参人さんに向けてPRを行います。

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セリ場の皆さんは河童と言えば遠野のトルコと直結したイメージをお持ちのはずです。
また、毎年同じ時期に行うことにより、“夏といえば遠野のトルコ”と想起しやすいようにしています。

image483.gif遠野市花卉研究会とJAいわて花巻(遠野地域花き生産班)

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研究会の駒込さんは、遠野市でトルコギキョウの栽培を始めた先駆けであり、会を作ってきた第1人者です。
後継者を育てながらの運営は現在13名、平均年齢50歳後半です。


研究会は大田花きが誕生する前の大森園芸時代からご出荷いただいています。

なんでも、当初ははるばる遠野から荷物をトラックに載せて自分たちで持ち込んでいたのだとか・・・torakku01.jpg


え!?車で??何時間かかるのですか?

片道7時間はかかったかな。」
それを毎回ですか?つまり1週間に3回・・・??
「そうだよ。」
Σ(゚д゚;) ヌオォ!?創設者のご苦労は計り知れない・・・。

そんなご苦労も今は昔、本来の出荷期でない時に注文で1?2ケース出荷するときは、農協さんのトラックに載せてもらいます。

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一方、こちらはJAの犬亦さん。

「生産しているといろいろ問題が出てくるからね、農協の生産者さんでわからないことは、意地を張らずに花卉研究会に聞きに行くのさ。」


花卉研究会とJAは同じ時期に同じものを出荷して、一見ライバルなのかと思いきや困ったときはお互い助け合う良きビジネスパートナーなのでした。


image483.gif遠野の出荷実績(2008年)

★遠野市花卉研究会

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★JAいわて花巻(遠野地域)

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★遠野の大田花き全出荷量に占める割合
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8月、9月は大田花き内のシェアも遠野統計で10%以上にもなります。

遠野のトルコを試すなら、今がチャンスです★

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遠野トルコギキョウ格言


ga-g2-04.gif冷涼な気候と地域性を生かした生産、マーケティングで、真夏の花きマーケットに突進すべし!

ga-g2-04.gif高品質なものを作るのは当たり前。良いものをいかに売るかが産地の課題なり。

ga-g2-04.gif生産は常に勉強。マーケットにも耳を傾け、市場の変化に対応すべし!

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消費者の皆さんへ一言

遠野のトルコでとにかく見てほしいのは花保ちと色のり!
夜温が下がるのを利用して、実はリンドウも出荷しています。こちらもお試しください。
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遠野の箱を見たら、遠野の里に思いを馳せてみてください。河童や馬の精霊たちが目に浮かぶかもしれません。
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image41.gifおまけ

犬亦さんのお宅で目に留まったのは、犬亦さんの家そのもの。
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なんと築120年!明治4年(?)の建設なのだとか。作った頃は新築だったと思いますが・・・そりゃそうさね。
そこで、ちゃっかり「お宅拝見!」(゚▽゚*)♪ お邪魔しま?す。

中を拝見すると、いかにもレトロな雰囲気。

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このポスターの女優さんの中で私が名前を知っている人は・・・一人もいません。残念ながら勉強不足ですみません。


「旧家にザシキワラシといふ神の住みたまふ家少なからず。この神は多くは十二、三ばかりの童児なり。・・・」(『遠野物語』第17話)


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花用の梱包資材があるこの場所は本来は馬屋でした。
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犬亦さんのお宅では、奥の部屋に行くたびに高くなる天井。最後に待っていたのは「船底造り」という天井でした。遠野でも珍しいのだとか。

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今ではすっかり珍しくなった欄間、床の間、建築の際から作りこんである神棚・・・幅180cmのふすま。遠野の冬の必需品、暖炉。なんともいい味を出しています。

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犬亦さんのお宅にエアコンはありません。天井が高く、風通しがいいため、常に遠野の涼しい風が吹き抜け、ヒートアイランド東京とは無縁の世界です。

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この軒下、釘を使っていません。“せんげ造り”というそうです。
今は東京の学生さんなどが夏休みの研究とかでおうちを見に来たりするそうです。

昔のおうちは広いだけではなく、建築設計の時点から神棚やお仏壇、床の間、玄関先などお花を飾るところがたくさんあったのですね。


image41.gif遠野伝説

遠野には数々の河童伝説があります。

「川には河童多く住めり。猿が石川ことに多し。松崎村の川端の家にて、二代まで続けて河童の子を孕みたる者あり。・・・」(『遠野物語』第55話)

「川の岸の砂の上には河童の足跡といふものを見ること決して珍しからず。雨の日の翌日などはことにこの事あり。・・・」(同第57話)

有名なかっぱ渕には、カメラが設置されていて、河童が現れた際にはきちんと証拠が取れるようになっている!!なんという力の入れ具合!

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しかし、実は遠野に本当の伝説があるといいます。それは・・・・
今の大田花きの社長磯村が専務だった時代に、大田花きに荷物を着けたドライバーが、現場で働いている磯村を一般社員かと思ってジュースを買いにやらせてしまったのだとか (゚ー゚;Aアセアセ

しかも“あそこの自販機にいいのがあるから”と自販機まで指定。
「これが遠野の中で一番の伝説になっちゃったよ。知らないとはいえね・・・」と遠野の方々。
もちろん現在の社長磯村は当時快くジュースを買ってきたそうです。


ところでひとつお伺いしたかったのですが、遠野物語に出てくる座敷童子って、このあたりに現れるものなのでしょうか。
「見たことないねぇ。花に載せて届けたいんだけどね。」
座敷童子がいる家は栄えるといわれる幸運の精霊ですから、ぜひとも花に載せて届けたいという遠野の皆様の思いなのですが、本物の座敷童子が目に見えなくても、遠野の花を買ったら野山の精霊を感じてください。

遠野の品種はこちらでご覧いただけます。
http://www.otakaki.co.jp/topics/2007/200716/index.html


<写真・文責:ikuko naito@花研>

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.