2007年3月17日
vol.35 千葉県 湯浅花園(後編)
今回も引き続き湯浅花園さん訪問レポート!
前回は、インパクトの強いユリを沢山導入している事についてクローズアップしましたが、ただ単に“変わったモノ”というだけではないんです!
?ツボミまで全部咲きます!?
品物の良さは、作業場の壁にずらっと並んだこの賞状が物語っています。
これらは 『関東東海 花の展覧会』において、チューリップ、鉄砲ユリ、スカシユリなどの球根植物で評価された証。
『5年くらい金賞を総なめしてしまって、主催者側から「もう出さないで」とお願いされてしまった』というほど確かな腕をお持ちなのです!
そんな湯浅さんの栽培に対するコダワリは、締めて作る!という事のようですが…(?_?)
つまり…、水揚げは毛管現象と一緒!細胞ひとつひとつを小さくすればストローの原理と同じで水揚げはよくなる=だから、肥料や水をボンボンやって作る事は細胞を大きくしてしまうので、水揚げも悪くなる、という事のようです。
「ウチのハウスはカサカサに乾いてたでしょ!だからツボミも全部咲くんだよ! それに、花色や葉艶にも差が出てくるんです。
直販でも全部花が咲くといって、また買いに来るお客さんがいるわけですよ!」と湯浅さん。
直販所については、後ほどご案内するとして…、
「ところで、きちんと咲くカサブランカってどんなのか知ってる?」と湯浅さん。
えぇっ!ツボミを見ただけで分かるんですか?と素人な私に、
「花のツボミの根元が少し赤くなってると きちんと咲き切るんだよ。」と教えてくださいました。
お花屋さんはぜひ参考にしてみてくださいね!
?ココは観光農園!??
「ここ全部ウチの土地ですよ。」広大な敷地内にあるハウスを案内していただいている途中にも沢山の植物を見ることができました。
ハンカチを結んだ様に見えるハンカチの木
苗木から育てて15年、昨年は300輪もの花を付けたのだとか。
もはや根元がどこだか分からないほど立派に育った白のモッコウバラ
「秋篠宮と紀子さまの第一子 眞子さまの御印だから注文がくるんだよ」と湯浅さん。
さらに、「天皇陛下さまはボタンが好きだから、誕生日には毎年納めているよ。」
「昭和天皇は白玉椿が、美智子皇后さまは乙女ユリが好きなんですよ!」
「あっ、今の皇太子の結婚式にはウチのマルコポーロを使ったんです。咲かせて出荷したんだけど、傷もついちゃいけないっていうんで大変だったんですよ。」と次から次へと…。
ここで新たな発見! 『湯浅花園は皇室御用達』だったのです。
そして 足元にはカモミール、クリスマスローズ、ちょっとしたガーデンスペースまでも!
「今は草に見えるけど、これ全部花畑になります。6月?7月に来たらビックリしますよ!」 写真の写真しかお見せできないのが残念ですが、こんな風になるんです⇒⇒⇒
「お金取りませんから皆 自由に見ていきますから。置いてあるベンチでお弁当を食べていく人もいるんですよ。」。
「特別に手は加えません!僕は人間変わってますから(?)、見せて直販にもお客様を呼ぶわけですよ。」と湯浅さん。
花が盛りの時期にもう一度訪れたい!!と思いました
さらに、さらに…
フレンチカンカンのスカートのように、フリルが詰まった可愛い“朴伴椿”と“白玉椿”が並ぶ、椿並木を抜けると…、
ミッキーマウスの木のジャングルハウスがありました。
この花は、毎年ご出荷いただいていますけど、ホントに可愛らしいですよね。
黄色い花が散ると実がなって、赤くなったガクが反り返る。
この姿がその名前に由来しているのですね。
でも、切り花として出荷されているのは珍しいんです。
そうして、やっとたどり着いたのが直販所です。
でも、直販所のイメージとは異なるオシャレな外観。
「園内の花を見に来た人がついでに買って帰ってくれればいいと思って。でも、こんなキレイだなんて思わないでしょ!」
ニコニコと自慢げに紹介してくださる湯浅さんでした。
そこで、ちょうど出荷が終了してしまったボタンも発見しました。
以前から疑問に思っていたんですが、なぜ 切花として出荷されるのに鉢ごと出荷されているのか?聞いてみました。
すると、「株ごと土をキレイに洗って水盤に根を見せて飾る料亭もあるらしいんですよ。」と湯浅さん。
さらに、ボタンの出荷に際して気をつけている事を聞いてみると、
「お茶室に飾る際には咲いていてはダメなんです。
お茶室はお茶を楽しむところで、ボタンの香りが香ってしまっては邪魔になってしまう。
だから、若いもの(ツボミ)を出荷しています。」
店内には先ほど見た朴伴椿も とっても素敵に飾られていて、訪れるお客様の目を引いていました。
日の光りが降り注いで明るく、自慢の直販所では奥様が作業をされていました。
「都心の花屋さんは土地がないからできないんです。だから、森の中にあるような直販所にしたかったので、大きな木も切っていないわけです。
これは、田舎の生産者がやろうとしたってできません。だってお客さんも来ないでしょうから。
ですから、ココがちょうどいい立地なんです。」
千葉県 市川市は東京と千葉の県境に位置するのです。
さらには、「直販によって、消費者がどういうものを求めているかが分かるんです。
多くの花屋さんが扱うスカシユリは黄色やオレンジが一般的ですが、消費者は変わったモノが欲しいわけですよ!だから、ウチへ買いに来る。一番遠い人では、横浜から来る常連さんもいらっしゃるんですよ。」
湯浅さんの作る個性的なユリには、一般消費者のファンも多いのです!
湯浅さんからお花屋さんへのメッセージ
「良いモノをそれなりの価値を出して、お金出して買っていただきたい。
ウチのはボリュームだけでなく、締めて作っているので花保ちします!」
「都市近郊産地だから、鮮度には自身を持ってます!」
お花屋さんからのメッセージ
湯浅さんの花を購入しているお花屋さんにお話を聞きました。
よく湯浅さんのボタンを購入されているようですが…?
━「湯浅さんのボタンは量販体制で栽培している産地とは違って、株がいい!
葉がピンとしていて、生命力があります。
ボタンはお茶の世界では格が高い花とされているんですよ。」
そして、
ハウスではこのような状態の黒ユリですが、どのような用途で使われているのでしょうか?
━「おけいこで使われています。こんな風に使うのですよ。」
と実際に見せてくださいました。 ⇒⇒⇒
「花の価値基準は、一般に言われているような太さや 大きさ、花付きではないんです。
ウチではボタンも、乙女ユリも敢えて1輪付きのものをお願いしているんです。
オリエンタルは7輪付きが値段は一番高いですが、実は 5輪や3輪が一番使いやすかったりするんですよ。」
こんなお話をしてくださいました。
たくさん花があれば見ごたえがありますが、1輪の花に込められた想いや、その表情には訴えかける何かがある?ということでしょうか…。
後編・湯浅花園さんの格言
・湯浅花園のユリは締めて作っているので花保ちします!
さらに 水揚げもいいので、ツボミまできちんと咲きます!
・都市近郊産地だから、鮮度はバツグン!
さらに農園全体を綺麗に整えて、見る人の目を楽しませています!
おまけ
愛犬 チャチャマル
私に吠えることもなく、おとなしい印象でしたが、夜は温室で寝て、頼れる番犬として活躍しています。