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2005年8月30日
Vol 7.北海道真狩(まっかり)村 大西ユリ園・藤本農園 編
なんと今回は北海道へ上陸!羊蹄山のふもと真狩村へ突撃です。
出発前さんざん球根チームのホーダイ部員から「オレだって北海道に行かせてもらえねーのによー」と、うらやましい目で見られながら出発です。(いやいや仕事ですから?仕事!ホホホ?。)
灼熱のトーキョーから飛行機でひとっとび。無事千歳空港に到着!しかーし!涼しい・・・?い、いや、この感触は・・・・・・寒い?!!!
7月のこの日気温なんと12℃!(ちなみに東京はこの日30℃以上だったらしいです)
ちょっと大げさかなぁと思って薄手のセーターを着てきたのですがそれでも寒いぃ!
「オレ、長袖1枚しか持ってこなかった・・・」と桐生隊員。
二人とも出発早々人生につまずいた感じです。
ささ、気を取り直して札幌駅から洞爺湖温泉方面行きのバスに乗って出発です!
大西ゆり園へ到着
バスで2時間、ルスツから大西さんにお迎えに来てもらい、真狩(まっかり)村に到着! 個人的に「まっかり」の発音が北海道らしくて大好きです。 ちなみにアイヌ語「マクカリペッ」(意味:「羊蹄山を取り巻く川」)から来ているそう。(真狩村HPより)さっそく大西ゆり園の圃場を見せていただきました。
大西さんはオリエンタル系のユリを専門に作られています。
広っ!!さすが北海道っ!圃場の終わりが見えません。
ハウスの数なんと50棟以上!規模が大陸並です。(大陸の圃場を見たことないけど)
「畑はここだけじゃないからね。これで三分の一。あとちょっと離れた所に2ヵ所あるよ。」
全部で広さはどのくらいなんですか?
「えーと、7町歩くらいかなぁ。」
す、スイマセン・・・町とか歩の単位がワカリマセン。
というわけで、明日使える単位のウンチク↓ご用意いたしました。
1歩(ぶ):約3.3?
1畝(せ):約99.2?≒1アール(100?)
1反(たん):約992?
1町(ちょう):約9920?≒1ヘクタール(1万?)
上記の単位表によりますと・・・えーと、7ヘクタール(7万?)ですか!!
現代人にも分かりやすいベタな例でいきますと、東京ドーム(46,755?)の約1.5倍ですね。
個人でこんな広さの土地持ってるってさすが北海道?!
北海道のユリは、当たり前ですが出回る季節が一番遅いです。
その中でも2番目くらいに遅いのがここ真狩なのです。
季咲きでズレを狙っていますので、基本的には露地栽培です。
でも圃場をよく見ると、ビニールをかけていたり、寒冷紗をかけていたりしてますね。
どんな違いなんですか?
「寒冷紗は葉やけしやすい品種に使うんだよ。
ただマルコポーロみたいに黒の寒冷紗では色がきれいに出ない品種にはうちは白を使うよ。
黒の寒冷紗は丈が伸びるから、地域によっては全部黒の寒冷紗を使っているみたいだね。」
ゆり園だからユリだらけなのは当たり前なのでしょうが、一体どれだけの量があるんですか?
「1ベット6000?6500球植えるよ。何クールかに分けて出荷する。年間25?30万個植えるよ。
抑制(栽培)の分も考えて植えるんだけど、今年うちは30万個植えたね。」
・・・えーと、数が多すぎてあまりピンとこないんですが・・・。
こんなに多くちゃ切るのも選別するのも本当にタイヘンそうですねー。
「常時7人、8月のピーク時は30人くらいになるね。」
あらっ、案外少ないんですね(と思ったのは私だけ?)。
ヒトの調達は人材派遣会社に頼むんだそうです。
作業に向く人向かない人がいて、けっこう大変なんだそう。
こちらは2年目以降の畑。
ユリって一回切ったら終わりじゃないんですね。
「うちは量を多く、単価が下がる時期に出荷するからね、
2年目もきちんと切れる品種じゃないとやれない。
2回切れば基本的に終わりだけど、3回切ろうとしてるから。
うちは欲たけてるからねー(笑)」
2回目以降もしっかりしたものが切れるんですね。
「ここらへんは北海道の中でも3本指に入るくらいの豪雪地帯で180センチは積もる。
こうやって球根を据え置きできるのは雪のおかげだね。北海道でもこの産地だけ。」
気候的に恵まれているんですね。
「ユリの姿は産地によって全然違う。
北海道のは固くてゴツイ。本州のプロが見ても品種が特定できないっていうね。
周りが全部山で盆地だし、昼と夜の温度差がすごいからかな。
ここら辺じゃ昼が26℃、夜は10℃まで下がるからね。
色モノを作らせたらここだ、色が良く出る。」
ユリを育てるにあたって
ユリを育てていて大変なことはなんですか? 「ユリは8割方球根の良し悪しで決まるんだよ。あとの2割は肥培管理。 ユリは上にも根、下にも根っこがついてるから養分を吸うんだよ。」球根はオランダから仕入れているそうです。
「育種って昔ちょっとやったことがあるけど非常に手間がかかるんだよ。
人一人雇わないといけないくらい。
オランダに比べたら日本の育種技術はちょっと遅れているしね・・・。
早くニーズにあったものを出すには、向こうから買ったほうがコスト的にもいいんだよ。」
外国から、しかもこんなに大量に取り寄せるのはいろいろ大変でしょうね。
「バクチみたいなもんですよ。球根の質で左右される、オランダの気温に左右される。
でも負けずにいい球根を要求するんだ。そうすると翌年に差が出るからね。」
品種はどんな基準で選ぶんですか?
「扱いやすく、手間がかからない品種が一番!あとは丈!そのあとが柄、輪数。
本州は量がないから、うちとは考え方が全部違うかも。
おかげさまでこちらは面積持っているからそういう発想でいかないとね。」
確かに、これだけ割り切った考えは他の産地にはあまり見られないような気がしますね。
「でもこれでもうちはかなり新しい品種を入れている方だよ。
半分は毎年入れている定番で、試験的に導入しているのも入れて30品種入れているよ。」
でもロットが多いから飽きられちゃうのかな?新品種の割に値段が出ないねー。」
あぁ?そうでございますか・・・。買参人の皆様、よろしくお願いします・・・
大西さんが一番好きな品種はなんですか?
「おれは昔のマルコ(ポーロ)が好きなんだよね。これに勝るものはない。
きれいに出たのはなんともいえないよ。」
ええ?昔のマルコと今のマルコは違うんですか??
「今のマルコは退化している感じがする。オレ元々球根農家だから分かるんだけど、
実際、色と形がおかしくなっている気がするね。大量増殖のひずみだろうと思っている。
球根屋にも言っているんだけど。」
・・・ちょっと心配ですね。オランダの球根屋さん、よろしく頼みますよ・・・。
作業場について
大西ゆり園を遠くから見ますと(といっても大西家の敷地内ですが)、
北海道農業シンボル(?)のサイロがあるようですが。
「うちは20年前までウシ屋だからね、うち。乳牛飼ってたんだよ。
切花のユリを始めたのは15年くらい。大きくなりだしたのはここ10年位かな。
量を多く出し始めたのが5年くらいだね。」
牛乳屋さんからユリ生産ですか!ずいぶん大きな方向転換ですね。
「真狩はもともと食用ユリの産地なんだよ。うちは食用ユリの球根を作っていたんだ。
うち自体が球根農家でノウハウがあったし、ユリしかできないから。
毎年勉強ですからね。これでいっぱいいっぱい。いろんな品目は作れないよ。」
下の写真は保冷庫です。デカい!エアーカーテンつきです。
「これ、農協にあったのを見ていいなーって思って入れたんだよね!」
思考の規模が違いますなぁ。(タメ息)
大西さんちではジュースを冷やすのに使っていました・・・(ごちそうさまでした)※写真一番下)
藤本農園へ
次はすぐご近所の(といっても車で5分以上かかりました) 藤本農園さんへおジャマしました。「うちは品種を絞っているよ。カサブランカ、ソルボンヌ、マルコポーロ。
今年からコンカドール、メデューサ、アクティバを出すよ。」
おお!圃場内にため池が!これは便利ですな。
「畑を作るのにたまたま水が出てきたんだよ。でもピークになるとこの水では全く足りないから近くの川からも水を引いているよ。」
今年の春は雨が少なく、苦労したそう。
「水かけると一日中かけっぱなし。 植えはじめだと3日に一度は水かけだよ。もちろん、状態を見ながらだけど。」
藤本農園の横を通る真狩村「フラワーロード」。観光客を楽しませるために道路脇にはユリが植えられています。
道路脇の土地も球根も村へ無償提供だそう。太っ腹?!
(ホント、ベタすぎてすいません)ってな感じの写真が撮れました。
今回は北海道の大きさに圧倒されまくりでした。
取材時は花は全く咲いていませんでしたが、現在、市場にはまさに最盛期のユリが続々到着しています!
みなさん、ぜひ真狩のユリで北海道を感じてくださいね!
大西ゆり園・藤本農園の格言
・真狩の気候がいい品質のユリを育てています。
お花屋さんへ一言・・・
・意見を積極的に聞かせてください。今後の参考にします。
おまけ
「羊蹄山は単山。日本で単山は富士山とこの山だけなんだよ。」と大西氏談。この日は待っても待っても頂上を拝むことはできませんでした・・・残念。)日本で三番目に大きなカルデラ湖、洞爺湖です。向こう岸では噴煙がっ!有珠山は今でも活発に火山活動中って知ってました?
昭和新山。地元の郵便局長さんが地震の回数を豆で数え、平らな畑から山になる様子を細かく記録したという話を、国語か道徳の本に載っていたのを小学校の頃読んだような気がします。
ちなみにこの山「天然記念物」なんだそうですよ。へぇ?。
北海道らしい花の名前がついた列車。本州にもあるといいですよね。北海道内の移動はまっすぐな道をレンタカーで飛ばすのもいいですが、電車・バスの旅もゆったりできておすすめですよ。